2021/07/31 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【求刑を上回る「懲役41年」判決は異例か? 元刑事裁判官に聞く「量刑の決め方」】
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
2018~2019年に7人の女性を暴行したとして、強盗・強制性交、強制わいせつ致傷などの罪に問われた男性の裁判員裁判で、福岡地裁(溝国禎久裁判官)は7月29日、求刑懲役40年を上回る懲役41年の判決を言い渡した。
報道によると、男性は出会い系サイトを通じて知り合った女性を脅し、山中に車で連れて行って犯行に及んだとして起訴されたが、「合意があった」と否認していた。
男性は今回問われた事件の間である2019年10月、別の事件で執行猶予付きの確定判決を受けた。このため、刑法の規定により、判決の確定日前後で、懲役15年と懲役25年に分けて求刑されていた。今回の判決では「16年」(求刑懲役15年)と「25年」(求刑懲役25年)の合計で「41年」となった。
この裁判をめぐっては、有期懲役刑の上限「30年」を超える求刑だったことが「異例」などと報じられ話題となっていた。結果としてその求刑をも超える判決となったが、なぜこのようなことが起こるのだろうか。刑事裁判官を務めた経験をもつ片田真志弁護士に聞いた。
■求刑は一定の重みある「参考意見」
――求刑を超える量刑にすることは可能なのでしょうか。
法律上の刑の上限を超える判決をすれば当然違法ですが、求刑を超えても違法ではありません。求刑は検察官が相当と考える刑罰であって、参考意見にすぎません。
ただ、求刑は、法廷に立つ検察官が一人で決めたものではなく、検察官が「公益の代表者」であることを前提に、これまでの量刑動向を踏まえ、上司の決裁も経て決められるものですので、それなりに重みのあるものです。
なお、裁判員裁判では、弁護人の側も、たとえば「懲役3年が相当である」など具体的な刑の意見を述べることがありますが、こちらは担当した弁護人自身の判断で決めるもので、組織的な背景はありません。被告人とも相談して決められるのが通常で、過去の量刑動向に照らすとやや軽めの意見が述べられることが多くなります。
■裁判員も過去の量刑データを無視できない
――裁判員裁判での量刑はどのように決められるのでしょうか。
量刑を決める際、裁判所は、求刑だけでなく、過去の量刑データを参照して刑を決めます。今回のケースでも、裁判員を交えた量刑評議の場では、裁判官から裁判員に対して同種事件の過去の量刑データが示されたはずです。
示されるデータでは、同種事件として絞り込まれた数十件から百件前後のグラフに加えて、その中でも量刑が重めの事件、軽めの事件、中程度の事件それぞれについて具体的にどのような内容であったかも紹介されることが通常です。
今回も、そうした説明を受けて、裁判員は過去の量刑の中で今回の事件がグラフのどのあたりに位置づけられていくべき事件なのかを検討していくことになったのではないかと思います。
――職業裁判官と裁判員とでは量刑に対する考え方が異なる点もあると思います。裁判員が求刑や過去のデータに縛られたくないという意見を述べることはないのでしょうか。
たとえば、過去のデータでは、5年から10年くらいの幅の中で判決が出ているような事件について、検察官が10年を求刑していたとします。検察官としては、同種事件の中では本件は最も悪質な部類だという評価をしているからこそ、求刑を10年にしたと考えられます。
その場合に、複数の裁判員が「過去のデータは全体として軽すぎる、本件は少なくとも12年くらいは当然だ」「われわれ市民が入った以上、市民感覚を反映させるためにも過去のデータに縛られるべきではない」といった意見を述べたとき、裁判官が歯止めをかけることは現にあります。
既に裁判員裁判が始まって10年以上が経ち、量刑データの大部分が裁判員の入った裁判で判決されたものになっており、過去のデータは「職業裁判官だけで裁判をしてきたときのもの」とはいえなくなっています。
そうしたことも説明した上で、裁判官は、裁判員に対し、「過去の量刑動向を全く無視した量刑をすることは、罪の重さと刑の重さは釣り合っていなければならない(同じくらいの重さの事件には同じくらいの重さの刑を科すべき)という罪刑の均衡に反することになってしまう」と説明するのが通常です。
罪刑の均衡は今の刑法が前提とする大原則ですので、これを無視することは許されません。
■「41年」の結論は裁判員だけでは決められない
――そのような説明を経ても、求刑超えの判決が出ることがあるのはなぜでしょうか。
一般論として、裁判員が、法廷で被害者やその遺族の声に直接触れ、被害の凄惨さを目の当たりにした時、どうしても心情として「これで懲役10年は軽すぎる」という思いを持たれることは不思議ではありません。
さらに、今回のケースでは被告人が否認しており、それがしりぞけられて有罪となっているので、その点、被告人が「反省していないばかりか、嘘の否認をして被害者をさらに苦しめた」という受け止めがされたことも想像できます。
グラフ全体が軽すぎる、性犯罪については今後一層厳罰化していくべきだという意見が出た可能性もあります。
――罪刑の均衡という大原則に従っても、求刑超えの判決が出ることがあり得るということですね。
今回の件で実際にどのような評議がされたかはわかりませんが、事件の悪質性や被害者の声、被告人の態度などを踏まえて議論が交わされた結果、求刑を1年超えた判決に落ち着いたのであろうと思います。
なお、裁判員法の規定により、裁判官全員が反対すると被告人に不利な量刑はできなくなっています(67条2項)。
先ほどの例でいえば、裁判官3人全員の最終意見が懲役10年以下の刑であったときには、たとえ裁判員6人全員が12年の最終意見を述べても評議の結論は12年にはなりません。
つまり、今回の求刑超え41年の結論には、裁判官が少なくとも1人は賛成したのです。裁判員が裁判官の歯止めを押しのけて決めたものではなく、意見交換の結果、少なくとも裁判官1人が賛成する形で多数意見が形成されたとみるべきでしょう。
(弁護士ドットコムニュース編集部)
|
|
|
2021/07/09 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【自殺した男性の遺族 会社に賠償求め提訴】
高岡市内のガソリンスタンドに勤めていた男性が、自殺したのは会社側が労働時間や業務量の調整などを怠っていたのが原因だとして、 会社などを相手に賠償を求める訴えを9日、男性の遺族が起こしました。
訴えを起こしたのは高岡市のガソリンスタンドで運営責任者として働いていて、おととし10月に自殺した当時58歳の男性の妻と子ども3人です。
|
(NHK NEWS WEB より)
訴えによりますと男性は当時、店舗の運営・管理を中心的に担っていましたが、おととし7月にガソリン販売に関する目標を初めて達成できなかったことを心理的な負担に感じ、その後、9月にノルマになった販売を達成しようと1か月の間に約104時間の時間外労働を行ったことなどで精神障害を患い、自殺に追い込まれたとしています。
遺族らは会社側は疲労や負担が蓄積しないよう労働時間や業務量などを調整する義務があったとして会社と当時の社長に対しあわせて約7600万円の賠償を求めています。
遺族らは提訴のあと、会見を開き、自殺した男性の30代の長男は「会社は父が相当無理な働き方をしていたのを知っていて当時の社長も父の様子がおかしいと感じていたにも関わらず、過重労働を解消してくれなかった。会社と当時の社長には家族の思いを真摯に受け止め果たすべき責任があることを認めてほしい」と話しました。
また、遺族が公開した男性の遺書には会社の幹部に向けて「責任者として最低な結果を出してしまったことをおわびします」と書かれていて、遺族や弁護士は男性が心理的負担を感じていたことを示すものだとしています。
この男性をめぐっては去年7月に労働基準監督署が男性の自殺を労災と認定をしていて、遺族の弁護士によりますと過重労働と自殺との因果関係が認められたということです。
これに対して会社側は訴状がまだ届いていないとしたうえで「労災認定には最大限の協力をしてきた。残業時間も極力増えないように助言していた。店舗でのガソリン販売は目標で、ノルマではない」とコメントしています。
(富山 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo! ニュース」「日テレNEWS24」「テレビ朝日」「毎日新聞」「朝日新聞」「東京新聞」など、多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2021/07/09 【メディア掲載】
チューリップテレビ 【ガソリンスタンド勤務の男性遺族が損害賠償を求め提訴】
古川 拓 弁護士と青木克也 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
高岡市内のガソリンスタンドで勤務していた男性が過重労働で自殺したのは、会社側が労働管理の注意義務などを怠たっためとして、遺族が会社などを相手取り、およそ7600万円の損害賠償を求め提訴しました。
9日男性の遺族が、会社と当時の社長を相手取り、およそ7600万円の損害賠償を求め、富山地裁高岡支部に提訴しました。
訴状などによりますと、男性は、高岡市に本社を置く丸福石油産業の米島店に勤務。
米島店では3か月に1度は1000リットルのガソリンを販売する「ノルマ」がありましたが、おととし9月にノルマを達成できず、責任者となっていた男性は翌10月に自殺しました。
男性が亡くなる1か月前の時間外労働は100時間を越え、14日間の連続勤務もあったということです。
高岡労働基準監督署が、去年7月、長時間労働などによる『過労死』と認定。その後、遺族は2度にわたって会社側に和解を提案しましたが、応じなかったといいます。
遺族「誰の目から見てもまじめで一生懸命に働いていた父が自死という形で最後を迎えたのは遺族としてたまらなく悲しくつらいです。過重労働は本人のみならず多くの人を不幸にするリスクがあるということを改めて社会全体で理解しなければならないと考えています。会社や当時の社長には私たち家族の思いを真摯に受け止め今からでも果たすべき責任があることを真摯に認めてほしい」
丸福石油産業は、取材に対し「担当者がいないのでコメントできない」としています。
(チューリップテレビ)
|
|
|
2021/04/05 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【化学メーカー社員過労死 遺族が賠償求め提訴】
古川 拓 弁護士と川村遼平 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
大阪の化学メーカーの男性社員が長時間労働によって過労死したことをめぐり、遺族が、会社は業務の管理を怠っていたと主張して、賠償を求める訴えを大阪地方裁判所に起こしました。
訴えを起こしたのは、大阪・平野区に本社がある化学メーカー、「永大化工」の社員で3年前、くも膜下出血で死亡した当時44歳の男性の妻と2人の子どもです。
男性は会社で、クレーム処理にあたっていて、自動車用のフロアマットで発生した不具合への対応や、複数回の海外出張など、長時間労働による過労死だったとして労災の認定を受けています。
遺族は、会社が男性の労働時間を正確に把握せず、疲労や心理的負担が過度に蓄積しないように注意する義務を怠ったと主張して、およそ1億円の賠償を求めています。
提訴後に記者会見した40代の妻は、「会社に謝罪を求めましたがありませんでした。私たちの悲しみや怒りを理解して、しっかりと責任をとってほしいです」と話していました。
一方、永大化工は、「訴状を確認していないのでコメントできない」としています。
(関西 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo!ニュース」「読売テレビ」「関西テレビ」「毎日放送」など、多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2021/01/13 【メディア掲載】
高知新聞 【土佐市パワハラ自殺 菜果園は上告せず 賠償判決が確定】
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
池一菜果園(土佐市)に勤めていた女性=当時(59)=が2010年に自殺したのは上司のパワハラなどが原因だとして遺族が訴えていた訴訟で、池一菜果園は賠償を命じられた高松高裁判決について8日までに上告せず、判決が確定した。
一審の高知地裁判決は、自殺は上司のパワハラなどが原因だと認定。昨年12月の高松高裁判決も、月100時間超の時間外労働や上司の言動が原因で精神障害を発症したとし、賠償を命じていた。
池一菜果園は「主張が認められず残念だが、最高裁で判断が覆る可能性が低く、上告を断念した」とし、「判決を真摯(しんし)に受け止め、亡くなられた女性のご冥福をお祈りする」とした。
女性の遺族は弁護士を通じて「主張を認めていただき、母の名誉を回復できて何よりの供養になった。会社が二度と同じことを繰り返さないよう願う」とコメントした。
(高知新聞)
|
|
|
2020/12/24 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【労災自死2審も遺族の訴え認める】
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
土佐市の会社に勤務していた50代の女性が自殺したのは、長時間労働や上司による叱責が原因だとして、女性の遺族が会社などに損害賠償を求めた裁判で、高松高等裁判所は1審に続いて遺族の訴えを認め、会社側に合わせて4900万円余りの賠償を命じました。
平成22年2月、フルーツトマトの生産などを行う土佐市の「池一菜果園」に勤務していた当時50代の女性が自殺したことについて、女性の遺族が、長時間労働や上司にあたる常務から厳しく叱責されたことが原因だとして会社と社長、それに、常務に対して合わせて6400万円余りの損害賠償を求めていました。
1審の高知地方裁判所は、会社側に責任があるとして、合わせて4900万円余りの損害賠償を命じ、会社側は、会社の業務と自殺には因果関係がないなどとして控訴していました。
24日の2審の判決で、高松高等裁判所の神山隆一裁判長は、「社長たちは、女性の時間外労働と心理的な負荷を認識し、女性が心身の健康を損ない、精神障害を発病する危険な状態になることが予見できた」などとして、1審に続いて会社側の責任を認め、合わせて4900万円余りの支払いを命じました。
判決のあと、遺族側の古川拓弁護士は高松市で会見し、判決についての遺族のコメントを読み上げました。
コメントの中で、女性の長女と次女は「1審と同じく、こちらの主張が認められる判決となり、胸をなでおろしました。やっと母の死をきちんと受け止めることができるような気がします。会社側から真摯な謝罪は一度もなく、本当に残念でなりません。1審、2審において、このような判決が出たことを真摯に受け止め、今後このようなことがないよう深く反省してもらいたいです」としています。
会社側はNHKの取材に対し、最高裁判所に上告せずに、判決を受け入れる考えを示したうえで、「女性の冥福を祈るとともに、社員の安全配慮義務により一層、務めていきます」とコメントしています。
(高知 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo!ニュース」「東京新聞」「高知新聞」など全国多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2020/12/17 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【京アニ事件の初公判はいつに 再度の精神鑑定が認められれば長期化の可能性も】
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
36人の命を奪い、32人に重軽傷を負わせた京都アニメーション放火殺人事件で、京都地検は16日、青葉真司被告(42)を殺人罪などで起訴した。未曽有の事件が引き起こされた背景に、何があったのか。発生から1年5カ月、真相解明の舞台は法廷に移される。
青葉真司被告の初公判はいつになるのか。専門家は、事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続き自体は「さほど長期化しない」とみる。だが弁護側の請求に基づいて裁判所が改めて精神鑑定を行う可能性があり、裁判員裁判が始まる時期は見通せない。
一般に犠牲者が多い重大事件は証拠の量も膨大で、公判前手続きは長引きやすい。入所者ら45人が殺傷された相模原市の障害者施設殺傷事件では、計36回の手続きや打ち合わせを重ね、起訴から初公判まで2年10カ月余りを要した。神奈川県座間市の9人殺害事件でも計25回、2年かかっている。
ただ、京アニ事件で殺害の実行行為とされるのは1件の放火のみ。約30件の裁判員裁判を審理した元裁判官の片田真志弁護士(大阪弁護士会)は「複数の実行行為を審理する事件と違って、手続きはそれほど長期化しないのではないか」とみる。弁護側が殺意を否認する意向を示した場合でも、「放火したことに争いがなく、故意性の判断だけなら手続きが長引く理由にならない」と説明する。
一方で、公判で最大の争点と見込まれるのが青葉被告の刑事責任能力の有無や程度だ。地検が実施した精神鑑定の結果を弁護側が不服として、改めて鑑定を請求することも想定される。裁判所が認めた場合、再び数カ月に及ぶ鑑定が行われる。
36人という犠牲者数から死刑求刑の可能性が高いとみられる。片田弁護士は「裁判所も審理を尽くすために鑑定を認める可能性がある。引き受ける医師の重圧は大きく、鑑定医を探すために一定時間を要するかもしれない」と話す。
公判では被害者参加制度に基づいて遺族らが加わることも予想され、公判前手続きではその調整にも時間が必要となる。どれほどの遺族が参加するのかも、初公判の時期に影響しそうだ。
(京都新聞)
|
|
|
2020/10/01 【メディア掲載】
労働判例 No.1225 【池一菜果園ほか事件(高知地裁 令2. 2.28判決) ~長時間労働・叱責等による精神障害発病と自死の業務起因性等~】
|
古川 拓 弁護士 からのコメント |
|
|
|
(産労総合研究所 「労働判例」 より)
2020/04/01 【メディア掲載】
労働判例 No.1216 【遊筆 - 労働問題に寄せて 先人の「汗」による安全規則】
|
古川 拓 弁護士 からのコメント |
|
|
|
(産労総合研究所 「労働判例」 より)
遊筆 - 労働問題に寄せて
|
|
先人の「汗」による安全規則
「安全(衛生)規則は先人の血で書かれた文字である。」とはよく知られた諺ですが、実際に、被災者の血等が飛散した生々しい復命書や調書等を見ながら今後の方策等を検討するたびに、再発防止と被害者救済の必要性を痛感します。
ところで、私の原体験としての「先人」の一つに、吉村昭『高熱隧道』があります。
30年以上前に小学生だった私は、剣岳から宇奈月温泉に抜ける登山ルート上で水平歩道を歩いたのですが、途中で泊まった仙人温泉小屋で女性スタッフが読んでいたこの小説を知り、その場で借りて読み始め、下山後すぐ書店で買い求めて一気に読み終えました。
日米開戦前夜の国策によって強行されるダム建設工事、300名を超える犠牲者、水平歩道から転落死する歩荷、強烈な泡雪崩、ダイナマイト自然発火事故など迫力ある描写は枚挙に暇がないのですが、少年の当時はその強烈さにただ打ちのめされただけでした。
しかし、その後、長じて弁護士として労災事案、特に熱中症の事案を取り扱うようになってから読み返し、あらためて驚嘆しました。
160℃を超える岩盤温度(当時のダイナマイト使用制限温度が40℃!)、上昇し続ける坑内温度(切端で92℃という描写あり)の中で作業が続けられます。
文中、随所に熱中症や暑熱労働の過酷さについてのリアルな描写がみられます。
「かれらの体は、熱さにおかされて脂肪分が失われ、骨と皮のように痩せきってしまっている。」
「……熱さによって人夫たちは多量の汗をかくので、塩分の不足をまねき、また水分を多量に飲むため下痢症状を起こしているものが非常に多い。」
「……たとえ水を浴びていても全身針で刺されるような暑さにしめつけられ、人夫たちはしゃがみ込むようにしてなるべく低い温度にふれようとする。」
「作業中、倒れるものが稀ではなくなった。……手足はかたく硬直して痙攣し、口からは泡を吹きだしていた。……意識不明のまま息を吹き返さなかった人夫も出るようになった。」
まさに、労働者の血と命だけでなく「汗」にもよって、高熱隧道は貫通したのでした。
今日、安衛則上、暑熱対策に関しては、作業環境測定や屋内作業について適当な措置を講じることを定めた規定があるものの、明示された温度制限については、坑内(37℃以下)しか存在しません。
しかし、暑熱環境の有害性についての医学的・専門的知見は進歩しており、関係各省・各種学会などでも、温・湿度によるWBGT値など具体的な数値等の基準が示されるようになってきました(平成21年6月19日付基発0619901号「職場における熱中症の予防について」厚生労働省労働基準局長など)。
そうである以上、使用者等は、これらの基準を十分に踏まえた暑熱対策(作業環境管理、作業管理等)を行うべきであって、特に基準値を超える場合には、作業中止も含めた予防対策の徹底を図るべきですし、対策を怠った場合の法的責任についても正しく問われるべきだと考えます。
温暖化により暑熱環境で労働に従事する機会も増えており、職場での熱中症による死傷者数も、この10年間増加傾向にあります。
暑熱環境下の労働における安全衛生をより充実させ、先人の「汗」を無駄にしないよう、微力を尽くしたいと思います。
|
|
|
2020/03/02 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【「弁護人は被告人の逃走を抑止すべき立場にない」 元刑事裁判官が語る「保釈」のあり方】
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
起訴された刑事被告人の身柄拘束を解いて釈放する刑事司法手続きの「保釈」。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(64)をめぐって保釈申請の成否が国内外で注目されたが、「保釈保証金」の金額も関心を集めている。
現在のところ、裁判所は保釈を認めていないが、ゴーン被告が保釈される場合、もらっていた報酬額などから保釈保証金は「過去最高額になるのでは」との観測も強い。果たして保釈保証金はどのようにして決まるのだろうか。保釈決定に携わったことのある元裁判官は「基準は150万円から」と打ち明ける。
■罪証隠滅のおそれ
保釈は弁護人や配偶者などの請求をもとに裁判所が判断し、決定する。刑事訴訟法は「保釈の請求があったときは次の場合を除き、許さなければならない」と規定。だが、「次の場合」である「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」などを理由に、保釈が認められないケースが多い。
仮に保釈が決まった場合、必要となるのが保釈保証金の納付。同法では、裁判所は保釈を決定する際に保釈保証金の金額を決めなければならないとされ、保証金額について「犯罪の性質や情状、被告人の資産などを考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる金額」などと規定している。
■「捨てるに惜しい」
では、保釈保証金の金額は具体的にはどのようにして決まるのか。
「保釈保証金を決める具体的な手順や方法を定めたものはないが、慣例的な“基準額”のようなものはある」。こう話すのは、元裁判官で、保釈手続きに携わったことのある片田真志弁護士(大阪弁護士会)だ。
片田弁護士によると、裁判所は、これまでの経験則や世間一般の収入額などから、執行猶予付き判決が見込まれる事件では罪名にかかわらず「150万円を算定のスタートとすることが多い」という。
例えば、執行猶予付き判決の可能性がある被告の場合、裁判所はこの150万円を基準として、保釈保証金の算定を始める。被告人の月収や預貯金額、不動産といった資産を勘案し、「これだけ納付しておけば逃亡のおそれはないだろう」という金額を決める。
これ以上の実刑となる可能性のある事件では「算定のスタートとする額ももっと高くなるが、明確な基準はない」という。
■億超えも続々
場合によっては、保釈申請時に弁護士から「この程度なら支払える」と言い添えられることがあるといい、まれに検察側から「比較的高額に定められたい」と伝えてくるケースもあるという。片田弁護士は「裁判所は限られた資料の中から、被告人に捨てるには惜しいと思わせる金額を算出しなければならない」と打ち明ける。
こうして決められる保証金額で過去に高額だったのは、牛肉偽装事件の浅田満元ハンナン会長(20億円)、村上ファンド事件の村上世(よし)彰(あき)元村上ファンド代表(5億円)、ロッキード事件の田中角栄元首相(2億円)ら。
ゴーン被告の事件では、先に保釈された日産前代表取締役のグレゴリー・ケリー被告の保釈保証金が7千万円だった。仮にゴーン被告が保釈される場合は、その報酬は巨額であり、海外に拠点もあることから、過去の高額事例を上回る保証金額が設定されるのではないかとの見方が広がっている。
(産経新聞)
|
|
|
2020/02/28 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【上司叱責で自殺 会社に賠償命令】
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
土佐市の会社に勤務していた50代の女性が自殺したのは、長時間労働や上司による叱責が原因だとして、女性の遺族が会社などに損害賠償を求めた裁判で、高知地方裁判所は28日、遺族の訴えを認め、4900万円余りの賠償を命じました。
平成22年2月、フルーツトマトの生産などを行う土佐市の「池一菜果園」に勤務していた当時50代の女性が自殺したことについて、女性の遺族が、長時間労働が続いていたことや、上司に当たる常務から厳しく叱責されたことが原因だとして、会社と社長、それに常務に対して、合わせて6400万円余りの損害賠償を求めていました。
女性の自殺を巡っては、労働基準監督署が平成24年に労災と認定していて、28日の判決で、高知地方裁判所の西村修裁判長は、女性が、強い心理的負荷から精神障害を発病したと指摘しました。
そのうえで、社長や常務には女性が精神障害を発病することを予見でき、会社側に責任があるとして、合わせて4900万円余りの損害賠償を命じました。
(高知 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo!ニュース」「日本経済新聞」「毎日新聞」「高知新聞」など多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2020/02/01 【メディア掲載】
京都新聞 【元判事 漫画で法律監修】
■京に事務所の弁護士 裁判官主人公「イチケイのカラス」
元裁判官で京都と大阪に法律事務所を構える片田真志弁護士(40)が、裁判官を主人公とした漫画「イチケイのカラス」(講談社)の法律監修を務めた。
刑事裁判官の機微を描いた作品は、法曹関係者の間で高い評価を得ており、刑事司法分野の活動をたたえる賞も受けた。片田弁護士は「リアルな裁判官像を感じてもらい、司法への信頼が増せばうれしい」としている。
漫画の作者は、若手女性漫画家の浅見理都さん。漫画誌モーニングで約1年間連載され、単行本となった。 主人公は、地裁の第1刑事部(通称・イチケイ)に配属された若手裁判官。被告とのやりとりや個性的な先輩裁判官らにもまれながら成長する姿を描く。
■法曹界で話題
法律監修を務めたのは片田弁護士と、刑事弁護に詳しい櫻井光政弁護士(第二東京弁護士会)。 約10年間の裁判官経験がある片田弁護士は、市民とともに罪の重い事件を裁く裁判員裁判を経験しており、退官後も裁判官の仕事を発信したいと考えていた。浅見さん側からの依頼を「裁判官の思考を知ってもらえる機会」と快諾した。
|
(京都新聞 より)
浅見さんや編集者と何度も打ち合わせを重ね、執務室の机の配置や法服をまとう場所をはじめ、裁判員選任の手続き、裁判官同士が法廷外で証拠について意見を出し合う場面について助言した。
路上生活者の男性が起こした脅迫事件を題材とした回では、片田弁護士が考案した判決文が誌面を飾った。本の見開きを費やした長文のせりふは、実際の判決言い渡しと同様、犯行に至った詳細な経緯や情状面ついて検討しており、読み応えがある。
刑事裁判官の実像に迫った作品は、法曹関係者の間でも話題に。京都地裁で以前に裁判員を務めた左京区の女性(54)は、裁判官の姿が忠実に描かれていると裁判長から作品を勧められた。「裁判員の休憩時間の雰囲気がそっくりで驚いた。裁判だけでなく、被告が更生するする姿も描かれており感銘した」と語る。
昨年12月には、刑事司法の発展に寄与した個人らに贈られる「守屋賞」を作者の浅見さんが受賞した。浅見さんは「反響が大きくて驚いた。片田弁護士の話を聞いたことによって、実際の裁判官が感じている部分が明確に知れ、第1話につながるネーム(構想)が描けた」と振り返る。
片田弁護士は、「裁判官は『雲の上の人』と思われがちだが、実際はさまざまなしんどさも抱えながら仕事に取り組んでいる。作品を通じて肉感のある裁判官像に触れてもらい、司法を身近に感じてほしい」と語る。
(京都新聞)
|
|
|
2020/01/15 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【京アニ犠牲社員を労災認定 遺族らに補償支給開始】
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
京都市伏見区桃山町因幡のアニメ製作会社「京都アニメーション」第1スタジオが放火され、36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件で、死亡した社員の労災が認定され、補償の支給が始まったことが15日、遺族への取材で分かった。
京アニは昨年9月に被害者説明会を開き、労災手続きなどを伝達していた。遺族らは京アニを通じて補償支給を請求したという。
京都労働局は京都新聞社の取材に「個人情報なので公表しない」としているが、昨年7月末の会見では「請求があれば速やかに調査する」と話していた。
死傷者は第1スタジオで業務をしている際に事件に巻き込まれたとみられる。労災は、業務中に死傷し、死傷が業務に起因することが認定要件となる。補償の額は、死傷の原因となった事象の直近3カ月間の平均賃金を基に算出する。
労災に詳しい京都弁護士会の古川拓弁護士は「業務に内在する危険が現実化したと判断して認定されたと考えられ、妥当だ。ただ、労災による補償には慰謝料分は含まれておらず、あくまで最低限の生活保障にしかならない点は留意しておくべきだ」と話す。
犯罪被害者を巡っては、地下鉄サリン事件や武富士弘前支店の強盗殺人・放火事件でも労災が認定されている。
(京都新聞)
|
|
|
2019/11/01 【メディア掲載】
労働判例 No.1207 【国・茂原労基署長(株式会社まつり)事件(東京地裁 平31. 4.26判決) ~過労死した店長の労災保険給付金の算定と固定残業代等~】
|
古川 拓 弁護士 からのコメント |
|
|
|
(産労総合研究所 「労働判例」 より)
2019/09/28 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【京アニ被害回復、課題山積 遺族・負傷者に支援金全額分配も「不足」】
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
京都市伏見区の「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオが放火され、男女35人が死亡、34人が重軽傷を負った事件で、遺族や負傷者の金銭的な被害回復に向けた動きが始まっている。
同社に寄せられた多額の支援金は、異例の税制優遇措置の下で被害者に全額が分配されると決まった。今後、労災関連の手続きも進む。
だが、被害者が多数に上ることに加え、重い後遺症への対処も予想される。これらの対応では不十分と見る向きは強い。
■少なくとも40億円
20日時点で京アニの専用口座に集まった支援金は約25億8590万円に上り、同日、京都府へ移された。府が募る義援金も2億円超に達した。10月末以降、支援金と義援金の全額は府の配分委員会を通じて被害者に非課税扱いで分配される。
だが、同社の代理人弁護士は、死傷者らの被害規模総額は労災補償などを除いて「少なくとも40億円」と見積もる。交通事故の損害賠償額算定基準に照らして算出したといい、主たる原資となる支援金を充てても「相当不足」(代理人弁護士)と見る。義援金を担当する府戦略企画課も「被害者の納得をどう得るか、配分の基準作りは難しいものとなる」とする。
■労働災害としての補償
事件は就業中に発生し、京都労働局は7月末、「労働災害として補償などの給付対象となる可能性が高い」との見解を示した。労災保険では、負傷者には治療や休業で生じた実損害と、後遺障害の程度に応じた補償や遺族には年金などが給付される。
事件で被害に遭ったのはアニメ製作者だった。教え子が京アニに就職したアニメーション作家の男性(59)は「(アニメの仕事は)繊細な指の動きが不可欠で、やけどによる感覚のまひや、座位がつらくて集中力をそがれるといった後遺症があれば、仕事に大きな支障が出る」と案じる。
しかし、こうしたアニメの仕事特有の事情は労災保険では考慮されず、後遺障害の補償額は直近の収入と障害等級に応じて算定される。治療費の面でも、公的医療保険の適用外でやけど跡を処置した場合の補償は難しい。精神的苦痛に対する慰謝料も、労災補償の対象外だ。労災に詳しい古川拓弁護士は「労災保険は最低限の補償でしかない」と指摘する。
■賠償には「資力ない」見方も
京アニは9月上旬に被害者への説明会を開き、支援金や労災手続きについて伝達した。支援金・義援金や労災保険では賄えない損害に対しては、加害者側へ示談や裁判で賠償請求する方策もある。だが、過去の事件では加害者に返済能力がなかった場合、被害者は泣き寝入りするしかなかった。
2013年に福知山市の花火大会で露店が爆発、58人が死傷した事故では、業務上過失致死傷罪で服役した露店主(44)に資産がないとされ、大会主催者が「道義的責任による救済」として金銭を支払った。
今回の事件で、殺人容疑などで逮捕状が出ている青葉真司容疑者(41)も、仮に賠償請求をしたとしても、「応じられる資力はないはず」と捜査関係者はみる。
今回は異例の政府判断で災害義援金の仕組みを犯罪被害者支援に準用。義援金を渡す側も、受け取る側も、税負担が軽減される。ただ、税や支援の公平性の観点からは課題も浮かぶ。
犯罪被害者支援に詳しい新恵里・京都産業大准教授は「事件の特殊性によることなく、仮に世間の耳目を集めない事件で犠牲者が1人であっても、等しく支援されるべきだ」と強調。
「市民の浄財は被害者の精神的支えにもなり貴重だが、安定的財源にはならない。被害者が恒常的に使える公平な制度が必要。もともと犯罪被害者のために使われている税金は微小で、税などの形で国民負担があまねく増えても、社会的合意は得られるのでは」と問題提起する。
(京都新聞)
|
|
|
2019/07/31 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【八戸製錬の事故で遺族が告訴】
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
去年、八戸市にある金属の精錬会社の工場で、設備の点検作業中に男性が機械に巻き込まれて死亡した事故で、その遺族は、当時の工場での作業の責任者らを十分な安全確認を行っていなかったとして、刑事告訴しました。
この事故は、去年10月、八戸市にある「八戸製錬」の工場で、設備の点検作業をしていた男性が、急に動きだしたらせん状のコンベヤーに巻き込まれて死亡したものです。
遺族は、事故当時、製錬工場の作業の責任者が十分に安全確認しないまま機械を稼働させ、点検作業を請け負っていた業者の担当者も工場側に点検作業を実施していることを伝えていなかったとして、2人を業務上過失致死の疑いで7月31日に刑事告訴しました。
会見した遺族と担当弁護士によりますと、「八戸製錬」は、会社として遺族に対し謝罪はしたものの、機械を稼働させた責任者から直接の謝罪がないことなどから告訴に至ったとのことです。
遺族の1人で死亡した男性の長男は、「この告訴を通じて、父がなぜ亡くなったのかをはっきりさせるとともに、当時の責任者に直接の謝罪をしてほしい」と話していました。
(青森 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo!ニュース」「青森放送」など多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
平素は格別のお引き立てを賜り誠にありがとうございます。
暑さの厳しき折柄、皆様方のご健康とご自愛を申し上げます。
皆様方のおかげをもちまして、今夏、弊所は法人設立5周年を迎えることができました。
また、新たな活動拠点として、南森町 事務所を設ける運びとなりました。
これを機に、所員一同、より充実した法的サービスの提供に努めてまいる所存です。
今後とも一層のご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
|
|
|
2019/06/11 【メディア掲載】
判例時報 No.2402 判決録 <労働> 【ルート営業に従事していた労働者が心停止(心臓性突然死)により死亡したことについて、業務起因性が認められた事例(福岡高宮崎支判平29・8・23〈参考原審:宮崎地判平28・12・14〉)】
|
古川 拓 弁護士 からのコメント |
|
|
|
(判例時報社 「判例時報」 より)
2019/05/16 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【保育所プール男児死亡で賠償命令】
古川 拓 弁護士と片田真志 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
5年前、京都市内の保育所のプールで水遊びをしていた4歳の男の子が死亡したのは保育士が監視を怠ったためだとして、両親が保育所側に賠償を求めている裁判で、京都地方裁判所は「現場にいた保育士に注意義務違反があった」などとして、保育所側の責任を認め2000万円余りの賠償を命じました。
平成26年7月、京都市上京区にある市の認可保育所「せいしん幼児園」で、プールで水遊びをしていた当時4歳の榛葉天翔くんが溺れて動かなくなっているのが見つかり、その後、死亡しました。
天翔くんが死亡したのは、保育所側に責任があるとして両親が賠償を求めた裁判で、京都地方裁判所の井上一成裁判長は、天翔くんは病気などではなく、プールで溺れたのが原因となって死亡したと認めたうえで、「保育所側は、保育士にプールで役割分担をさせたり、事故防止のための教育を受けさせたりするなどの国が求めていた義務を怠った」と指摘しました。
そして、保育士についても、「一時プールを離れるなど注意義務違反があった」として保育所側に2000万円余りの賠償を命じました。
【天翔くんの父親“尊厳守られた”】
この事故をめぐっては、両親が当時の園長ら4人を業務上過失致死の疑いで告訴しましたが、検察は「裁判を起こすだけの証拠がなかった」として不起訴にしました。
16日の賠償命令を受けて、天翔くんの父親の榛葉英樹さんは京都市内で記者会見を開き、「天翔をだっこした重みやなでた頭の形、握り返す力が強くなっていく様子などを忘れるのではないかと思いながら過ごしました」とこの5年をふりかえりました。
そのうえで、「全面的に主張が認められ感謝しています。本来は刑事裁判で認めてほしかったですが、ようやく命の尊厳が守られ、少しだけ天翔にいい報告ができると思います。この判決で保育園での安全について皆さんにも少し考えてほしい」と述べました。
【保育所側コメント】
せいしん幼児園を運営する社会福祉法人「正親福祉会」は、「判決文を読んでいないので内容が把握できていません。判決文を読み次第、弁護士と相談し、法人としての対応を検討したいと思います」とコメントしています。
(京都 NEWS WEB)
※このほかにも、「Yahoo!ニュース」「毎日放送」「朝日放送」「関西テレビ」「読売新聞」「産経新聞」など多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2019/04/26 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【実際の残業は2倍 「固定残業代で労災給付算定は違法」東京地裁】
古川 拓 弁護士と片田真志 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
過労死した飲食店の店長への労災給付金の算定の方法が争われた裁判で、東京地方裁判所は、残業代が固定されている「固定残業代」の労働時間より実際の残業時間はおよそ2倍あり、かけ離れているとして国の決定を取り消す判決を言い渡しました。
5年前、千葉県茂原市の飲食店で店長を務めていた当時50代の男性が急死し、労働基準監督署から長時間労働による過労死として労災給付金の支給が認められました。
労働基準監督署は、飲食店の経営会社が取り入れていたとする、残業代が固定された「固定残業代」の制度に基づき、支給額を算定したのに対し、男性の遺族は、実際の残業時間に基づいて算定すべきだと訴えました。
26日の判決で、東京地方裁判所の佐久間健吉裁判長は「店長の実際の残業時間は123時間から141時間で、『固定残業代』で想定される67時間のおよそ2倍と、かけ離れていて、この会社の『固定残業代』は、時間外労働の対価として支払われていたとはいえない」と判断しました。
そのうえで「固定残業代」が有効だという前提で、算定したことは違法と判断し、労働基準監督署の決定を取り消しました。
遺族の代理人の古川拓弁護士は「長時間労働の温床となっている固定残業代制度に警鐘を鳴らす判決で評価できる」と話しています。
(NHK NEWS WEB)
|
|
|
2019/03/25 【メディア掲載】
朝日新聞 【「使えない」上司に責められ… 退職代行、私が頼んだ理由の決め方とは…】
古川 拓 弁護士と片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
会社を辞めたいけど、辞めると言い出せない。そんな悩みに応えようと、本人の代わりに退職に関する連絡をする「退職代行」のサービスがあるという。
「代行使う人ホントにいるんだー」「辞める事も言えないってどういうことよ」。SNS上には疑問の声もある。退職代行サービスを手がける「EXIT(イグジット)」(東京)で、ともに代表取締役を務める新野(にいの)俊幸さん(29)と岡崎雄一郎さん(29)に話を聞いた。
利用者はまず、LINEやメールで勤務先や退職したいことを伝えるべき担当者名などを送る。利用者が正社員なら5万円、パート・アルバイトなら3万円の費用を振り込むと、同社が退職に関する連絡を代行する。2017年8月に本格的にサービスを開始。これまで2千件の依頼を受けたという。
■同僚退社、社内は騒然「怖くて…」
依頼をした大阪市の男性(28)は、4カ月勤めた中古車買い取り会社を昨年9月に退職した。客の家を訪問して車を査定し、価格交渉をするのが仕事だった。男性によると、上司が示す価格設定は厳しく、客に頭を下げ続けた。説得できないと、「御用聞きじゃねんだよ」と上司に責められた。営業成績が落ちると、「こんなに使えないとは思わなかった」と言われたという。自信を失い、追い詰められて飲酒量が増えた。
同僚が急に退職したとき、「あいつのせいで休みがなくなった」と社内は騒然。もし自分が辞めたいと言ったら――。怖くて想像できなかった。
ある日、友人の弁当屋を手伝った。客が「おいしかったよ」と笑顔で言ってくれた。「人に感謝される仕事がしたい」と思った。翌日、退職代行を依頼した。
弁護士に退職代行を頼んだ北陸地方の40代の女性にも聞いた。訪問看護の会社を昨年10月に辞めた。女性によると、事務所では10人ほどのスタッフが常に誰かの悪口を言い、女性も陰口を言われたり無視されたりするように。訪問先の利用者をも悪く言うのが聞こえ、怒りがこみ上げた。パソコンで「退職 手続き」と検索し、退職代行を知った。相談できる人がいなかったという点が、当事者2人には共通していた。
■弁護士への相談も続々
東京弁護士会の小澤亜季子弁護士は昨年8月、退職代行の相談を受け始め、ホームページを立ち上げた。月20件ほど依頼を受ける。「退職届を出しても受理してもらえなかったり、『後任が見つからない』と言われて責任を感じたり。心身の調子を崩し、退職後にようやく眠れるようになったという人もいる」
大阪と京都に事務所を構える古川拓弁護士と片田真志弁護士も相談を受けている。古川弁護士は過労死やブラック企業対策に取り組んできた。「ニーズはあると思っていたが、反響は想像以上。責任感は大事だが、命より大切な仕事はない」。片田弁護士は「退職代行はいずれなくなるのが健全な社会だ」と話す。
■踏み込んだ交渉、「非弁行為」注意
退職代行へのニーズはある一方で、弁護士以外の業者による代行は、弁護士法が禁じる「非弁行為」にあたるとの指摘もある。深澤諭史弁護士(第二東京弁護士会)は「依頼者が伝えてほしいと言った定型的な言葉を伝えるだけなら非弁行為にあたらない可能性が高い。だが、それ以上の対応や助言業務をすると、非弁行為にあたり、依頼者が法的責任を問われる可能性もある」と指摘する。
EXITは「交渉など、非弁行為にあたることはしていない。線引きにあいまいなところがある点は認識しており、顧問弁護士に相談して業務範囲を適正にしている」と説明している。
(朝日新聞)
|
|
|
2019/01/21 【メディア掲載】
産経新聞 【「保釈金」の決め方とは… ゴーン被告は過去最高か】
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告人がレバノンへ国外逃亡したことで、あらためて注目された「保釈」。保証金とひきかえに、(起訴後)被告人を身体拘束から解放する手続きだが、その後も似たような逃走事案が発生した。
たとえば、盗難車を不正輸出したとして起訴されていたパキスタン国籍の被告人の事件。保釈中、兄の葬儀に出席するため裁判所の許可を得て帰国したが、7カ月以上日本に戻ってきていないと2月12日に報じられた。保釈は2月6日に取り消されたという。
■保釈請求は弁護人によって行われる
保釈は、被告人側が裁判所に対して請求し、裁判所が検察官の意見を聴いた上で許可するかを決定する。法律上は「無罪推定」との兼ね合いもあって、一定の場合を除き、原則許可と定められている(刑訴法89条、権利保釈)。
保釈請求は、被告人や弁護人以外にも、配偶者や兄弟姉妹でも可能だが(刑訴法88条)、通常は弁護人による請求ではじまる。
しかし、弁護人による保釈請求をめぐっては、「悪い(かもしれない)やつを釈放するのか」という声がいまだにある。また、ゴーン被告人が国外逃亡した際には、「保釈して逃げられたのは弁護人の責任、資格剥奪しろ」などの批判もあった。
保釈中に被告人が逃走した場合、弁護人は何か責任を問われることはあるのか。 刑事裁判官の経験もある片田真志弁護士に聞いた。
■被告人が逃走しても、原則として弁護人に責任なし
--保釈中に被告人が逃走した場合、弁護人は何か責任を問われるのでしょうか
「弁護人自身が被告人の逃走を援助したり、逃走計画に加担したりすれば話は別ですが、そうでない限り、弁護人が法的な責任を問われることはありません。
もし今の法律を変更して、弁護人が責任を負うような制度にしてしまったら、弁護人が自身の保身のために保釈に消極的になってしまいます。弁護人の責務は、被疑者や被告人の権利を守ることですので、そのようなことはあってはならないと思います」
--弁護人として逃走対策などは何かするものなのでしょうか
「原則として、行いません。自宅から裁判に通いたいという被告人の意思を確認し、その前提で保釈請求を行うのですから、弁護人としては『逃げたくても逃げられないようにしよう』という発想がそもそも出てきません。
統計上わずかとはいえ、逃走するケースがあること自体は、どの弁護人も分かっていますが、自分の担当する被告人に対して逃走防止の手を打とうと考える弁護人はいません。
その点、能天気だとか性善説だという批判はあたりません。そもそも、弁護人は被告人の逃走を抑止すべき立場にないのです」
--逃走対策の有無は、保釈判断にも影響がありそうですが
「保釈の許可を得るための工夫として、ゴーン被告人の弁護団が行ったような『一定の行動制限』を保釈条件として付すよう弁護側から提案をすることはあり得るのかもしれません。
ただ、基本的には、弁護人と被告人との関係は、『不信』ではなく『信頼』が前提となるべきですから、『逃走対策』に弁護人が主体的に関与するという事態は、本来は望ましくありません。
検察官が、裁判所に対し、『保釈を許可するなら、●●という条件を付されたい』という意見を出し、裁判所がその意見を踏まえて具体的な保釈条件を決めるというのが本来の姿だと思います」
■「まだ保釈のハードルを下げる余地はある」
--裁判官時代、保釈請求を受けた際どのように対応されていましたか
「かつては、本当に厳しい運用がされており、裁判所がなかなか保釈を許可しませんでした。
私が刑事裁判に関わるようになったのは裁判員制度の始まるころで、ちょうどその時期に裁判所内部から『これまでの運用が厳しすぎたのではないか』との声が上がり、保釈を以前より広く認める方向に変化していきました。
私自身も、変化を好意的に受け止めていましたので、罪証隠滅や逃走の具体的な心配がなければ許可するという姿勢で保釈の判断を行っていました。
ちなみに、釈放されると被告人が自死してしまう可能性が考えられる事件の判断は本当に悩ましいものがあります」
--裁判官・弁護人双方を経験された上で、保釈のあり方をどのように考えていますか
「裁判官在任中、一件だけ、私が保釈を許可した被告人が判決前に逃走したことがありましたが、結局つかまって私が判決を言い渡しました(逃げた時点で保釈金は全額没取する決定をしました)。
最近、保釈後に逃走した事件について、裁判官の判断が間違っていたという非難が聞かれることがありますが、本当にそうなのでしょうか。
保釈後に逃げる例は、少数ながら、なくなりません。しかし、制度上、それは避けられないことです。アバウトな数字でいうと、1万人保釈が許可されたとして、そのうち逃げるのは数十人程度です。残りの9900人以上は逃げずに出頭しているのです。
誰が逃げるかを事前に予測することは事実上不可能ですから、保釈後の逃走を防止しようと思えば、保釈のハードルを上げるしかありません。
しかし、ハードルを上げれば、保釈しても逃げない多数の被告人まで勾留を続けることになります。逃げたらきちんと捕まえて裁判を行い、有罪なら刑罰を受けさせるという前提の上で、まだ保釈のハードルを多少下げる余地はあるように感じています」
--保釈のハードルを下げるにはどうすればよいでしょうか
「海外逃亡の防止には、出国確認留保の制度(現在の制度では、保釈条件に海外渡航禁止が指定されている場合、検察官から入国審査官にその通知が出されれば入国審査官は24時間以内に限り出国の留保ができます。留保中に保釈を取消すことによって出国を防止して収監することが可能となる仕組みです)を改善するなどして対応するのが適切ではないでしょうか」
(弁護士ドットコム)
|
|
|
2018/12/13 【講演・メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【過労自殺で夫亡くした女性が講演】
古川 拓 弁護士の講演について、記事が掲載されました。
|
|
|
夫を過労自殺で亡くした女性が京都市の高校で講演し、長時間労働は死につながる危険があり、「おかしいと思ったら周りの人に相談してほしい」と訴えました。
これは、社会人になる前の子どもたちに労働現場がかかえる問題について知ってほしいと、厚生労働省が開いたもので、京都市伏見区の洛水高校で先週5日間のインターンシップを終えたばかりの、1年生およそ200人が参加しました。
はじめに、飲食店で勤務していた夫を22年前、長時間労働が原因の過労自殺で亡くした寺西笑子さんが講演しました。
寺西さんは、「まじめで責任感の強い夫は『飲食店は長時間労働が当たり前』と話して忙しさに耐えたが、正常な判断ができなくなってしまっていた。命より大切な仕事はありません」と話し、おかしいと思ったら周りの人にすぐ相談してほしいと訴えました。
また、過労死や過労自殺の裁判を多く手がける古川拓弁護士が講演し、十分な休息が取れないと、脳や心臓がダメージを受けたりストレスで精神的に追い詰められたりして、過労死や過労自殺につながると説明しました。
講演を聞いた男子生徒は、「保育園にインターンシップに行きましたが、仕事がとても忙しかった。労働時間が長いと、その人に大きな負担がかかってしまうと思います」と話していました。
(京都 NEWS WEB)
|
|
|
2018/11/22 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【プール事故死 「保育所に責任」】
|
古川 拓 弁護士と片田真志 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
4年前、京都市内の保育所のプールで水遊びをしていた4歳の男の子が死亡したのは、保育士が監視を怠ったためだとして、両親が保育所側に賠償を求めている裁判が開かれ、両親は保育所に責任があると訴えました。
平成26年7月、京都市上京区にある市の認可保育所、「せいしん幼児園」でプールで水遊びをしていた当時4歳の榛葉天翔くんが動かなくなっているのが見つかりその後、死亡しました。
当時、保育士がプールから目を離すなど監視を怠ったために天翔くんは溺れて死亡したとして、両親は保育所に賠償を求める訴えを起こしています。
22日、京都地方裁判所で開かれた裁判で両親は「大人たちは認めないことも謝罪することも選べますが、天翔には選択肢がありません」と述べ、保育所に責任があると訴えました。
保育所側は責任はないと主張していますが、22日の裁判では、当時、現場にいた元保育士がプールから目を離す時間があり、監視が不十分だったなどとして謝罪しました。
この事故をめぐっては、両親が当時の園長ら4人を業務上過失致死の疑いで告訴しましたが、検察は「裁判を起こすだけの証拠がなかった」として不起訴にしています。
天翔くんの父親の英樹さんは「あの日、何があったのかどういう対応をしたのか知りたい。最後くらいは4歳の子どもの命に誠実に向き合ってもらいたい」と話しました。
(京都 NEWS WEB)
|
|
|
2018/09/16 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【話題の裁判官漫画「イチケイのカラス」作者、初インタビュー …拘置所からのファンレター】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
漫画やドラマなどエンタメ作品では定番の「法廷モノ」だが、主役を飾るのは弁護士や検察官ばかり。そんな中、裁判官が主人公という珍しい漫画が登場した。それが「週刊モーニング」(講談社)で好評連載中の浅見理都さん作「イチケイのカラス」だ。
主人公は「超」がつくほど真面目な裁判官・坂間真平(30代)。ある地方裁判所の第一刑事部(イチケイ)に異動になった坂間が、曲者・変人揃いの職場仲間に日々振り回されながら、被告人に向き合う中で成長していく物語だ。
連載は2018年5月にスタート。8月23日には第1巻が発売された。作者は「第三日曜日」で第33回MANGA OPEN東村アキコ賞を受賞した浅見理都(あさみ・りと)さん。法廷の「リアル」と「ユーモア」を繊細なタッチで描くが、それもそのはず、刑事事件に詳しい櫻井光政弁護士と元裁判官の片田真志弁護士が法律監修を担当する。
裁判官が主人公という珍しさもあり、弁護士など法曹関係者の注目を集めている。作者の浅見理都さんに話を聞いた。(編集部・吉田緑)
■「すべてを決める」裁判官を主人公に
裁判官が主人公の作品としては「家裁の人」(1988年初版)の大ヒットもあるが、多くの漫画やドラマ、映画で主人公は検察官、弁護士ばかりだ。浅見さんは裁判の傍聴を通じて、「法廷でもっとも重要な役割を担っているのは裁判官ではないか」と感じたという。
「今まで裁判官に対しては『黒い服を着て座っている人』という認識しかありませんでした。でも実際に裁判を傍聴して、すべてを決めるのは裁判官なんだ、裁判は裁判官次第で進んでいくのだとわかって、おもしろさを感じました」
作品の中では、裁判官の法廷の姿も丹念に描かれる。たとえば関心の高い裁判の日には、「マスコミ対策」として変装して出勤したり、裁判官室の中ではゲームやお菓子を食べたりする。
「変装は私が考えました。片田先生には『裁判官はこんなことしないから!』と突っ込まれてしまいましたけど」と浅見さんは苦笑いする。エンタメ作品ならではの設定も織り交ぜつつも、リアリティの追及は欠かさない。作中の裁判官室の様子は片田弁護士にデスクの位置など室内の間取りを聞いて丁寧に描いたものだ。
エンタメ作品としての面白さと事実としての「正しさ」をどう両立させているのか。鍵を握っているのは、監修にあたる櫻井弁護士と片田弁護士の2人だ。浅見さんは「先生方にはとても助けられています。法律的なことを教えていただくことはもちろん、最近では『このキャラクターは性格的にこういうことは言わないんじゃない』と、内容に踏み込んでのアドバイスをいただくこともあります」と笑う。
■個性豊かな「イチケイ」の登場人物、設定に苦労も
書記官からは「THE裁判官」とも評される、絵に描いたような真面目な主人公の坂間だが、人物設定がなかなか定まらなかったという。当初はナヨっとした好青年を考えていたが、採用には至らなかった。「本を読んだり、櫻井先生や片田先生のお話を聞いて、なんとか坂間は誕生しました」と当時の苦労を振り返る。
坂間を振り回す同僚たちは、個性的だ。たとえば、弁護士から刑事裁判官に転身した「入間みちお」のインパクトは強烈だ。ふくよかでもっさりとした風貌とは裏腹に、知的であり、クールでもある。浅見さんは入間を「愛に溢れたイケメン」だと評する。そんな入間みちおが坂間に「カラスになれ」というシーンがある。
『イチケイのカラス』は単に「第一刑事部(イチケイ)にいる黒い服(法服)を着た裁判官」という意味ではない。では、タイトルにも使われている「カラス」はなにを意味するのか。その謎は9話と10話で明かされるが、「鳥が好き」という浅見さんだからこその深い想いが込められている。
■刑事裁判を傍聴して「見えてきたこと」
連載準備を始めてから、本を読み、刑事裁判についての基礎的な知識を得た。
文字と向き合うだけではない。裁判所にも何度も足を運び、刑事裁判をいくつも傍聴した。傍聴した事件は、殺人未遂、窃盗、覚せい剤取締法違反、暴行など多岐に渡る。裁判員裁判を傍聴することもできた。
浅見さんが印象に残ったのは、「落ち込むこともあると思うけど、がんばって」などと被告人に励ましの言葉をかける裁判官もいたことだ。
「いい裁判官だなと思いました。傍聴席からは被告人の後ろ姿しか見えませんでしたが、被告人に裁判官の言葉が響いているといいなと思いました」
物語の題材は、すべて櫻井弁護士や片田弁護士に取材して決めた「リアル」なものだ。もちろん、浅見さんが実際に傍聴した刑事裁判がモデルになっていることもある。たとえば、覚醒剤取締法違反(自己使用)事件の刑事裁判シーンだ。
「被告人には『どうでもいい感』がありました。熱意をもって被告人と向き合う検察官や弁護人と当事者意識に乏しい被告人との間に大きな温度差を感じたのを覚えています」
法廷では専門的な法律用語が飛び交い、刑事裁判は淡々と進んでいく。そのため、被告人が置いていかれたまま裁判が進んでいると感じたこともあった。この言葉にできない温度差、そして空気感を浅見さんは見事に描いている。
「私は専門家ではありませんし、刑事裁判に詳しいわけではありません。だからこそ、一人の市民として傍聴をして見えたものがあります」と浅見さんは語る。
判決文を読み上げるシーンにも注目だ。作中では、「漫画至上最長なのではないか」(担当編集者)という判決文も登場。片田弁護士が書いたものだ。
「参考にしたいとお願いしたものですが、片田先生から送られてきたのは、本当の判決文のようでした。浅見さんとも相談し、中途半端に抜き書きはできないと考え、そのまま全文掲載に踏み切りました」(担当編集者)
判決文や刑事裁判を含め、『イチケイのカラス』には「リアル」がある。だからこそ、多くの法律家が注目しているのだろう。
■拘置所から届いたハガキ「自分の気持ちを裁判官に伝えたい」
刑事事件はある日突然巻き込まれるものだ。平穏な日常が一瞬にして破壊されることもある。そして、だれもがそうなる可能性がある以上、けっして他人事ではない。巻き込まれれば、刑事手続きは待ったなしで進んでいく。だからこそ、「こんな裁判官がいたらいいのに」と思えるような裁判官を描きたいと浅見さんは話す。
その強い想いが届いたのか、拘置所で『イチケイのカラス』を読んだ人からハガキが届いたことがある。ハガキには「漫画を読んで勇気づけられました。おそれずに、自分の気持ちを裁判官に伝えようと思います」と書かれていたという。
最新話には熱血弁護士やクレプトマニア(窃盗症)の主婦など、さらに多くの個性的な人物が登場する。
浅見さんは「法曹の方々だけではなく、刑事裁判に興味がない方や知らない方に読んでほしいと思います。刑事裁判のおもしろさを多くの人に伝えたいです」と話した。
<浅見理都(あさみ・りと)さんプロフィール>
1990年生まれ、埼玉県出身。「第三日曜日」で第33回MANGA OPEN東村アキコ賞を受賞。「イチケイのカラス」は初の連載。
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2018/09/01 【書籍出版のお知らせ】
青林書院 【労災事件救済の手引 -労災保険・損害賠償請求の実務- 〔第2版〕】 古川 拓 著
|
古川 拓 弁護士が執筆した書籍が、好評につき第2版出版となりました。
|
|
|
弁護士・社労士必携のスタンダード・マニュアル!!
■過労死、過労自殺、メンタル、熱中症、アスベスト、腰痛・・・etc!
■労災認定実務とこれまでの裁判例をふまえた、すぐに役立つ知識と
ノウハウ、見起とせない注意点などを盛り込んだ労災事件の手引書!
出版社 |
: 青林書院 |
編・著者 |
: 古川 拓 著 |
判型 |
: A5判 |
ページ数 |
: 410頁 |
発行日 |
: 2018/9/1 |
定価 |
: 本体4,300円+税 |
ご購入はこちら(青林書院ホームページ)をご覧ください。 |
|
(青林書院 より)
|
古川 拓 弁護士 からのコメント - 執筆に寄せて - |
|
初版刊行後わずか1年余で第2版刊行の運びとなったことについて驚きつつ、それだけ昨今の労災事件における認定・救済の必要性について専門家の皆様が大きな関心をお持ちになっていることを、あらためて認識いたしました。
第2版では、近時の裁判例等について可能なかぎりフォロー・アップデートを行うとともに、精神障害・自殺ケースの労災認定実務において用いられている「労働時間アナライザ」をご紹介するなど、実務において一層役立つ内容となるよ う充実を図っています。
初版のはしがきでも述べたとおり、労災関連分野の関連法令・通達等の制定・ 施行は日々とどまることを知りませんし、実務におけるそれらの運用状況等についても、その動向を正確に把握する必要があります。
本書の記載を、それらの前提となる最低限の知識・事項としてご活用いただければ幸いです。そして、あらためて本書が、被災者・遺族に正当な認定・救済を届ける一助となることを願ってやみません。
弁護士 古川 拓
|
|
2018/05/17 【メディア掲載】
モーニング 2018年24号 -裁判官が主役のリーガル・エンターテインメント 「イチケイのカラス」 連載開始-
|
講談社 モーニング 本誌にて、片田真志 弁護士が取材協力・法律監修する連載が始まりました。ぜひご覧ください。
|
|
|
職業、裁判官。仕事は人を「裁く」こと——。
本日5月17日(木)発売&配信開始となる「モーニング」&「週刊Dモーニング」24号の巨弾新連載は、裁判官が主役のリーガル・エンターテインメント!
モーニングの新人賞出身の新鋭・浅見理都氏が挑む連載デビュー作「イチケイのカラス」、巻中カラー付きで新連載堂々開幕です!
第一刑事部(イチケイ)に配属された特例判事補の主人公・坂間真平を中心に描かれる、裁判所で働く個性豊かな刑事裁判官や書記官の人間ドラマに、どうぞご期待ください!
|
|
|
(講談社 「モーニング」 より)
|
|
片田真志 弁護士 からのコメント - 連載に寄せて - |
|
この度、縁あって、モーニング(講談社)に新連載される浅見理都さん作の「イチケイのカラス」という漫画の法律監修を務めさせていただくことになりました。
裁判官にスポットを当てた漫画といえば、家庭裁判所の一風変わった裁判官の視線を描いた「家栽の人」が有名ですが、今回の「イチケイのカラス」は、若手の刑事裁判官が個性的な裁判長や同僚裁判官に刺激を受けながら成長していく姿を描くものになりそうです。
私自身、約10年の裁判官時代に、本当に魅力ある先輩裁判官からたくさんの刺激と成長の機会を与えていただいたので、この主人公に自分を重ねずにはいられません。(タイプは少し違いますが。)
裁判官が実際に、どんなことを考え、どんな悩みをもって裁判を行っているのかという点はなかなか外部には出てきませんし、裁判官の生活模様や書記官との関係、裁判官室の様子なども、世間ではあまり知られることが少ないと思います。
この漫画がきっかけに、そうした点の理解や関心が広まれば、司法制度への信頼につながっていくのではないかと期待しています。
弁護士 片田 真志
|
|
【新連載】 裁判官が主人公のリーガル・エンターテインメント、本日開廷!
新鋭・浅見理都が贈る巨弾新連載『イチケイのカラス』、今週のモーニングにて堂々開幕!
モーニング 2018年24号 |
出版社 |
: 講談社 |
発行日 |
: 2018/05/17 |
定価 |
: 本体324円+税 |
週刊Dモーニング 2018年24号
2018年05月17日配信
|
|
|
(講談社 「モーニング」 より)
2018/04/01 【メディア掲載】
労働判例 No.1172 【国・宮崎労基署長(宮交ショップアンドレストラン)〈付 原審〉(福岡高裁宮崎支部 平29. 8.23判決, 宮崎地裁 平28. 4.21判決) ~基礎疾患を有する営業社員の心臓性突然死と業務起因性~】
|
古川 拓 弁護士の担当事案が、p.43 に掲載されました。
|
|
|
|
古川 拓 弁護士 からのコメント |
|
|
|
(産労総合研究所 「労働判例」 より)
2017/12/30 【メディア掲載】
京都新聞 【過労死ゼロ、道半ば 防止法施行3年、長時間労働まだ多く】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
過労死のない社会はいつになれば実現するのか―。働き過ぎによる死や自殺を防ぐ過労死等防止対策推進法が施行されて、3年が経過した。大手広告会社、電通の新入社員の過労自殺などを受け、京都府や滋賀県でも長時間労働を減らす動きが生まれつつあるが、過労死ゼロには至っていない。遺族らは、社員の犠牲を顧みないブラック企業の根絶を願うとともに、残業の上限を規制する政府の方針に対しても不十分と批判を強めている。
京都、滋賀の両労働局によると、仕事を主な原因とする脳・心臓疾患の労災補償請求は、2016年度に京都府40件、滋賀県11件に上り、いずれも前年度から増加した。同疾患で死亡し、16年度に労災認定された「過労死」は、京都で2人、滋賀で1人に上った。
京都労働局の吉岡宏修監督課長は、請求が増えた背景について「法施行などの影響で、過重労働が原因の疾患は労災になるという認識が広がった」と解説する。今年11月には月80時間以上の残業など長時間労働の疑いがある約130事業所を指導したといい、「大手企業は法令順守を重くみて、長時間労働を減らすようになったが、中小は人手不足で、まだ続けているところも多い」と指摘する。
近年は精神障害の労災請求も目立つ。京都、滋賀では、精神障害で自殺し、労災に認定された人もいる。労災関連の訴訟を多く手がける古川拓弁護士(西京区)は「疲れている時にパワハラなどをされ、耐えられなくなる例もある」とし、長時間労働と精神障害の関わりの深さを強調する。
長時間労働の是正に向けて、労災の相談を受けている京都労災職業病対策連絡会議(中京区)の芝井公事務局長は「労働時間の管理が曖昧なことが最も問題だ」と話す。各企業が従業員の労働時間を適正に把握すべきだと訴える。
政府は残業の上限規制を導入する方針だが、「最長で月100時間未満」とする計画で、全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表(伏見区)は「週60時間以下を目指す過労死防止法の趣旨に逆行している」と上限設定の見直しを求めている。
(京都新聞)
|
|
|
2017/12/13 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【「おとり捜査」にならない? 客を装った捜査官に「牛の生レバー」提供の店長逮捕】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
牛の生レバーを客に提供したとして、兵庫県加東市の焼き肉店の店長が12月上旬、食品衛生法違反の疑いで県警に逮捕された。
報道によると、店長は今年9月と11月、牛の生レバーを十分に加熱するよう伝えず、客に提供した疑いが持たれている。警察の取り調べに対して、容疑を認めているという。
牛の生レバーの提供は法律で禁止されているが、この店で「裏メニュー」として提供されているという情報が寄せられて、客を装った捜査員が訪れたところ、店員が「きょうは生レバーがあります」とすすめたという。
一方、ネット上では「おとり捜査じゃねコレ」「こんなのおとり捜査でひっかけるほどの問題なのかなあ…」「日本はおとり捜査はダメと聞いた記憶があるが」といった声があがった。
はたして、今回のように、捜査員が客を装うのは「おとり捜査」なのだろうか。刑事事件にくわしい片田真志弁護士に聞いた。
■「犯意誘発型」と「機会提供型」がある
「現在の日本の法律には、いわゆる『おとり捜査』について『どこまで適法で、どこからが違法になる』のかを定めた規定はありません。また、基準を明確に示した判例もありません。ただ、一般的には、次の2つに分けて議論されています」
どのような議論なのだろうか。
「1つ目は、犯罪をおこなう意思を持っていない人に対して、捜査機関が働きかけて、犯罪をおこなわせる意思を誘発する場合です。『犯意誘発型』と呼ばれています。捜査機関の強い働きかけで犯罪が生み出されたといえるので、違法と評価されやすくなります。
たとえば、捜査機関が、ネット上に『今すぐお金が必要な方へ。急募!銀行口座1件10万円で買いとります!』と広告を打ち、それを見て連絡してきた人に口座を作らせた場合などは違法とされるでしょう。金に困っている人に対し、10万円という高額の報酬を提示して捜査機関が積極的に犯罪を作り出しているといえるからです。
2つ目は、もうすでに、機会さえあれば犯罪をおこなう意思を持っている人に対して、捜査員が機会を与えただけの場合です。『機会提供型』と呼ばれています。
たとえば薬物の密売人が多く出入りと噂されている場所に、捜査員が一般人を装ってうろつき、『薬いらないか』と声をかけてきた密売人を検挙するような場合です。
あるいは、痴漢が多く起こっている電車に捜査員が私服を着て乗っていたところ、痴漢被害に遭ってその犯人を検挙するような場合です。いずれも捜査員からの積極的な働きかけはありませんので、犯罪の機会を与えただけと評価され、適法とされるでしょう」
今回のケースはどちらにあたるのだろうか。
「客として来店しただけの捜査員に、店員側が率先して生レバーをすすめてきたようです。したがって、典型的な『機会提供型』として適法とされる可能性が高いと思われます。
逆に、たとえば、客を装った捜査員が、店員に対して『生レバーを出してくれ。絶対に秘密にするから』と強く求めて、店員が『違法なので出せません』と断っても、捜査員が『通常代金の2倍はらう。出してくれないならこのまま帰る』などとしつこく迫った場合は、『犯意誘発型』として違法とされるでしょう」
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2017/04/28 【メディア掲載】
毎日新聞 【パワハラと過労 土佐市の女性自殺で、遺族が会社を訴え /高知】
|
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
土佐市でトマトの生産などを行う「池一菜果園」に勤めていた同市の女性=当時59歳=が自殺したのは上司のパワハラや長時間労働を強いられたことが原因として、遺族が27日、同園と社長ら2人に約4650万円の損害賠償を求め、高知地裁に提訴した。
訴状や遺族側の弁護士によると、女性は2004年に入社。自殺する直前は生産管理などを担当する統括部長を務めていた。
09年11~12月にかけて時間外労働が月100時間を超えたり、10年2月、休暇の申請をしようとした際、常務取締役だった女性に、複数回にわたり理不尽な理由で叱られたりするパワハラなどを受けた直後、自殺した。
須崎労働基準監督署は12年11月、女性の自殺と上司の嫌がらせや長時間労働との間には因果関係があるとして、労災認定した。
遺族は提訴後、県庁で記者会見し「会社には誠実な謝罪を求めたい」と話した。
池一菜果園は「訴状をまだ確認していないため、コメントできない」としている。
(毎日新聞)
※このほかにも、「NHK 高知」「産経ニュース」など、多数のメディアに取り上げられました。
|
|
|
2017/02/01 【書籍出版のお知らせ】
青林書院 【労災事件救済の手引 -労災保険・損害賠償請求の実務-】 古川 拓 著
|
古川 拓 弁護士が執筆した書籍が、青林書院より出版されました。
|
|
|
労災事件に取り組むなら見落とせない!!
過労死、過労自殺、メンタル、熱中症、アスベスト、腰痛・・・etc
労災認定実務とこれまでの裁判例をふまえた、すぐに役立つ知識とノウハウ、見落とせない注意点などを盛り込んだ労災事件の手引書!
出版社 |
: 青林書院 |
編・著者 |
: 古川 拓 著 |
判型 |
: A5判 |
ページ数 |
: 396頁 |
発行日 |
: 2017/02/01 |
定価 |
: 本体4,300円+税 |
※2018/09/01に[第2版]が出版されました。
詳しくはこちらをご覧ください。 |
|
|
(青林書院 より)
|
古川 拓 弁護士 からのコメント - 執筆に寄せて - |
|
弁護士登録以来、過労死・過労自殺や災害性の労災事故など様々な種類の労災事案に取り組む機会が、比較的多くありました。
被災労働者本人とその家族 (遺族)にとって「労災に遭(あ)う」ことは,突然生活の基盤である収入の 途を絶たれ途方に暮れることに加え、消えない後遺障害の苦痛や死亡事案ではかけがえのない家族との絆が断ち切られるという大きな悲哀であることを、これまでの取り組みの中で痛感してきました。
労災保険や損害賠償は、そのような場合のせめてものセーフティ・ネットとなります。
本書は、労災事案において労災請求あるいは民事上の損害賠償請求等を通じて正当な認定・救済が得られるようにするために、請求実務上重要と考えられる事項についての解説を行ったものです。具体的な事案に取り組むにあたって最低限踏まえておくべき事項や知識をできる限り盛り込んだものであると考えております。
本書が被災者・遺族に正当な認定・救済を届ける一助となることを願ってやみません。
弁護士 古川 拓
|
|
2017/01/29 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【「ネットカフェ」で客を装った捜査員が窃盗容疑者を逮捕、「おとり捜査」は合法なの?】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
北海道北見市のインターネットカフェで、張り込み中の警察官の財布を盗んだとして、住所不定・自称派遣社員の男性が1月中旬、北海道警に窃盗容疑で現行犯逮捕された。
報道によると、この店では、昨年12月から、置き引き被害が相次いでいたため、北見署の捜査官4人がこの日、利用客を装って張り込んでいた。1人の捜査官が飲み放題のジュースを取りに個室を出たあと、男性がその個室に出入りするところを別の捜査員が目撃した。カバンから、現金約1万3000円が入った財布がなくなっていたという。
今回の捜査手法について、ネット上では「おとり捜査ではないのか?」という声もあがった。このように「利用客を装った張り込み」は、おとり捜査なのだろうか。おとり捜査は違法なのだろうか。刑事事件にくわしい片田真志弁護士に聞いた。
■「おとり捜査」は違法じゃないのか?
「おとり捜査は、大きく2種類に分類されます。
1つ目は、犯罪をおこなう意思を持っていない人に捜査機関が働きかけて、犯罪をおこなう意思を誘発する場合です(犯意誘発型)。こちらは違法とされる傾向があります。
たとえば、道路上に、捜査員が高級な財布を置いて、それを目にとめて拾った通行人を尾行し、交番などに届け出ないと判断した時点で検挙するといった方法です。こうした方法は違法とされるでしょう。捜査員が財布を道路上に置いていたことが、犯罪を強く誘発したと評価されるためです」
もう1つはどんな捜査方法だろうか。
「2つ目は、もうすでに犯罪をおこなう意思を持っている人に対して、捜査員が犯罪の機会を与えただけの場合です(機会提供型)。こちらは適法とされています。
たとえば、違法な客引きをおこなっている店の前を捜査員が一般通行人を装って歩いて、違法な客引きを受けて摘発するような場合などは、適法とされる典型です」
■「犯罪をおこなう意思を持っている人に機会を与えた」
今回の捜査は「おとり捜査」だったのだろうか。
「今回の捜査は、報道の内容からすると、後者の機会提供型の『おとり捜査』だったと考えられます。したがって、『適法』と判断されることになるでしょう。
捜査員は、ネットカフェの個室を使用し、個室内に財布を置いて個室を出るという手法を使ったようです。
おそらく、捜査員は手に何も持たずに個室を出たのでしょうが、それでも、ほかの一般の利用者がその様子を見ても『この人は個室内の財布を置き忘れているのではないか』『財布を盗むことができるのではないか』とは考えないでしょう。
実際、捜査員が個室内に財布を置いて出たのかどうかは、個室内をのぞいたり、入ってみて物色してみなければわかりません。
つまり、この手法は、個室内に財布を置き忘れている人がいれば、それを盗み出そうと考えている人に対してだけ『おとり』としての効果があるといえます。犯罪をおこなう意思を持っている人に機会を与えたという評価になるでしょう。
同じネットカフェでも、たとえば、トイレ内に捜査員が財布を置き忘れたように装う場合、道路に財布を置く場合と同じように『違法』と判断される可能性が出てくるように思います」
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2016/12/15 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【長時間労働で労災認める判決】
|
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
4年前、「宮交ホールディングス」の子会社の社員の男性が自宅で死亡したのは長時間労働などが原因だとして、遺族が労災と認めるよう訴えていた裁判で、宮崎地方裁判所は14日「長時間の時間外労働にクレームへの対応が重なり、死亡につながった」として労災と認める判決を言い渡しました。
平成24年5月、宮交ホールディングスの子会社の「宮交ショップアンドレストラン」で係長をしていた37歳の男性が自宅で倒れてその後、死亡したのは長時間の時間外労働などが原因だとして、男性の遺族が、労災と認定しなかった宮崎労働基準監督署の決定の取り消しを求めておととし裁判を起こしました。
国側は「過重な業務をしていたとは認められない」と主張していました。
14日の判決で宮崎地方裁判所の五十嵐章裕裁判長は「男性が使用していたパソコンのログインやログオフの記録から、亡くなる前の6か月間の時間外労働は、1か月あたり56時間に達していた」と認定しました。そのうえで「亡くなる直前は商品に対するクレームへの対応も重なって強度の負荷が集中していた」として、男性の死亡を労災と認め、労働基準監督署の決定を取り消す判決を言い渡しました。
判決について宮崎労働基準監督署は「判決の内容を検討した上で、今後の対応を決めたい」と話しています。
また「宮交ショップアンドレストラン」は「詳しい情報は持ち合わせていないのでコメントは控えたい」と話しています。
(NHK NEWS WEB)
|
|
|
2016/12/03 【メディア掲載】
NHK NEWS WEB 【高校で過労死を教える授業】
|
古川 拓 弁護士の講演について、記事が掲載されました。
|
|
|
過労死や過労自殺について高校生に知ってもらい、将来の会社選びや問題が起きた際の対処に生かしてもらおうという授業が京都市で開かれました。
この授業は、厚生労働省が過労死や過労自殺した人たちの遺族の団体などと今年度から全国各地で行っています。
3日は京都府で初めての授業が京都市北区の洛星高校で開かれ、1年生およそ220人が参加しました。
はじめに夫を過労自殺で亡くした寺西笑子さんが講演し、「会社の慣習に惑わされずにおかしいことはおかしいと気づいて下さい。いざという時は誰かに相談してください」と呼びかけました。
また過労死の裁判を手がけている古川拓弁護士は「長時間労働で十分な睡眠がとれないと心臓などにダメージが蓄積します」と説明しました。
このあと生徒は、「過労死が起こりそうな職場をどう見極めればいいですか」とたずね、古川弁護士は「残業時間の過少申告を放置しているような会社は危険です」と答えていました。
寺西さんは「今後は多くの学校でカリキュラムとしてこうした授業を行ってほしい」と話していました。
(京都 NEWS WEB)
|
|
|
2016/12/02 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【高校生を車ではねて執行猶予中、遺族にけが負わせ書類送検… 刑は重くなるのか?】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
男子高校生を車ではねて死亡させた男性会社員が、示談交渉で遺族にけがをさせたとして、傷害の疑いで書類送検された。
報道などによると、この会社員(47)は2015年2月、滋賀県米原市の横断歩道を渡っていた男子高校生を車ではねて死なせた。会社員は過失運転致死の罪で起訴され、今年2月に禁錮3年、執行猶予3年の有罪判決を受けている。
しかし、会社員は今年5月にあった示談交渉で、遺族側と口論になり、男子高校生の母と高校生になる弟に体当たりして姿を消したという。弟は肩や腕に約3週間のけがをした。母親のフェイスブックによると死亡事故後、一度も謝罪らしい謝罪はなかったという。
今後もし、この事件で起訴された場合、執行猶予中の会社員にはどのような処罰がくだるのだろうか。片田真志弁護士に聞いた。
■事実なら「重い刑を科すべき事情として考慮される」
この後、起訴され有罪判決になれば、執行猶予は取り消されるのか。
「もともと執行猶予というのは『無罪放免』ではなく、期間中に次の犯罪を行わないことを条件に、刑の執行を猶予するものです。その条件を破って、別の犯罪をした場合は執行猶予が取り消されて、実際に服役することになります。
ただし、執行猶予中の犯罪のすべてが、執行猶予の取り消しに至るわけではないので注意が必要です」
どういうことだろうか。
「執行猶予の取消手続が行われるためには、(1)猶予中に行った新たな犯罪について「禁錮」以上の刑が言い渡され、(2)その刑について執行猶予が付けられず、(3)しかも、その判決が執行猶予期間中に確定した、という条件を全て満たすことが必要です。
本件では書類送検されただけなので、現段階ですぐに執行猶予が取り消されることはありません。今後、検察が起訴し、裁判所で実刑判決が言い渡され、猶予中にその判決が確定してはじめて、前の執行猶予が取り消されることになります。
ただし、罰金刑となった場合でも、裁判所の裁量で前の執行猶予が取り消されることはあります」
有罪となった場合、執行猶予中の犯行ということで、通常より刑は重くなるのだろうか。
「実刑になりやすいという意味ではそのとおりです。その点では、本件が事実であれば、執行猶予が取り消される可能性は高いでしょう。ただし、刑期の点では別の考慮がされることがあります。
というのも、執行猶予が取り消されると、前の件と合わせて2件分まとめて服役することになります。執行猶予中に再び罪を犯したことが原因なので、正に自業自得です。しかし、1回の服役が長くなりすぎるという考慮から、新たな事件の量刑の際に、逆に刑を軽くする事情として考慮されることが実務上は見られます。
とはいえ、今回の傷害事件の内容が報道のとおりであるとすると、本来は深く謝罪すべき遺族に対し、逆に暴力を振るったということですので、経緯や動機の悪質性という観点から重い刑を科すべき事情として考慮されることは当然でしょう」
現在遺族は、大津地検に対し、男性を起訴するよう求めて署名活動を行なっている。
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2016/04/26 【メディア掲載】
夕刊フジ 【野々村被告、判決の行方 政活費全額弁償、議員辞職… 「執行猶予付き」の可能性】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
日帰り出張を繰り返したなどと嘘の報告書を提出し、政務活動費(政活費)約913万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われ、神戸地裁で25日開かれた論告求刑公判で、懲役3年を求刑された元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)。事件は号泣会見や初公判のドタキャンなど異例づくしの展開となっただけに、7月6日の判決の行方に注目が集まっている。
野々村被告は短く毛が生えた頭に黒縁めがねとスーツ姿で入廷。2014年7月に政活費不正受給を釈明した会見での豊かな頭髪からやり直し初公判でのスキンヘッド、前回公判での無精ひげにジャージー姿と容姿を変貌させており、この日も服装は整っていたが無精ひげは伸びていた。
公判では、検察側が「議員の地位と信頼を逆手にとり制度の盲点を悪用した」として懲役3年を求刑。弁護側は詐欺罪の成立を否定し執行猶予付き判決を求めた。
最終意見陳述では野々村被告が公判で「記憶がない」と連発したことを「医師の診断で解離性健忘の可能性もあるとのことで記憶がなく、お答えすることができませんでした」と釈明。「このような事件を二度と起こさないこと、1人でも多くの方を幸せにすること、他の方に迷惑をかけないことを誓約いたしまして私の発言といたします」と締めくくった。
判決公判は7月6日に予定されているが裁判所の判断はどうなるのか。
元裁判官の片田真志弁護士(大阪弁護士会)は「詐欺などの財産犯では判決までに被害額を全額弁償すれば、量刑で大きく考慮される。今回も詐取した政活費を弁償し議員辞職しており、執行猶予付き判決が言い渡される可能性は高い。正当な理由のない不出頭や不誠実な供述態度は量刑の原則からするとあまり考慮されず、社会の受け止め方との間にずれがあるといえるかもしれない」と話している。
(夕刊フジ)
|
|
|
2016/04/06 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【国の代理人を担当したことのある裁判官が「忌避」された… どんな意味があるの?】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
生活保護基準の引き下げに反対する受給者たちが起こした訴訟で、金沢地裁(田中聖浩裁判長)は3月31日、同じ種類の訴訟で国の代理人をつとめていたことを理由に、原告側が申し立てた陪席裁判官の忌避(きひ)を認める決定をした。
この裁判は、国や自治体を相手取って、生活保護費の引き下げ処分の取り消しを求めて全国で起こされている集団訴訟の一つで、原告は850人以上。全国26の地裁で訴訟が展開されている。
そのうちの一つ、「さいたま地裁」の裁判で、かつて国側の代理人をつとめていた人物が、昨年4月から「金沢地裁」の裁判官になり、生活保護集団訴訟の審理に加わっていたことについて、原告の代理人グループの弁護士が「公正な裁判ができない」として、裁判官を訴訟手続から外す「忌避」を申し立てていた。
陪席をつとめる川崎慎介裁判官は、2015年3月まで法務省に出向し、国の代理人としてさいたま地裁の同種訴訟を担当。同年4月に金沢地裁へ赴任して、今回の訴訟を引き継いでいた。決定書によれば、金沢地裁は、川崎裁判官が「国の代理人として中心的に関与した」と認定。「公正で客観性のある裁判を期待することができないとの懸念を抱かせる十分」と判断した
「忌避」というのはどんな制度なのか。今回の決定についてどう考えればいいのか。元裁判官の片田真志弁護士に聞いた。
■裁判の公正に対する信頼を守るための制度
「当たり前のことですが、裁判は、公平中立の立場から公正に行われなければなりません。
たとえば、裁判の被告が、担当裁判官の実の父親である場合、『裁判官が被告に肩入れして不公正な裁判をするのではないか』という不安が生じるでしょう。
このように、裁判官が担当事件の当事者などと特別な関係を持つ場合に、裁判の公正に対する信頼を保持するためにあるのが、除斥、忌避、回避という制度です」
片田弁護士はこのように述べる。具体的には、どんな制度なのか。
「『除斥』というのは、法律に定められた事情(例えば、裁判官が当事者の4親等内の血族)がある場合に、裁判官がその担当事件から排除される制度で、その基準はハッキリしています。被告が父親という上の事例では当然に裁判官は除斥されます。
『忌避』は、除斥の基準には直接あてはまらないものの、裁判の公正を妨げるべき事情がある場合に担当事件から排除される制度です。この2つはいずれも裁判で結論が出されますが、その裁判には、問題となっている担当裁判官は参加しません。
これに対し、『回避』は、担当裁判官自身が、除斥・忌避の理由があると考えた場合に、自発的に担当から外れることをいいます。
最近では、2009年8月の衆院選小選挙区の『1票の格差』を巡り、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付された訴訟のうちの1件で、被告(香川県選挙管理委員会)の代表者が竹崎長官の実兄であったことから、竹崎長官が回避したことがニュースになりました」
■「ほとんどないと言ってよいほど、珍しいこと」
訴訟の当事者が「不公正な裁判をされるかも」と考えて、忌避を申し立てれば、認められる可能性は高いのだろうか。
「いいえ、忌避が認められる事例は、ほとんどないと言ってよいほど、珍しいことです。
例えば、一方の当事者が前に別の事件で同じ裁判官から敗訴判決を受けたとか、裁判官と相手方の代理人弁護士が大学以来の親しい友人であるといった程度では忌避は認められません。
裁判官は、職務上、公正に裁判を行う義務を負っており、もしその義務に違反すれば懲戒されますし、裁判の結論が誤っていれば上訴によって是正されます。
裁判の公正は、そうした他の制度によっても保障されているといえるため、忌避によって裁判官を排除するのはよほどの事情があるときに限られているのです」
■「裁判官の経歴にも注目が集まりやすくなっている」
今回のケースは、なぜ忌避が認められたのか。
「一般的には、裁判官が過去に訟務検事(国の訴訟代理人)として同種訴訟に関与したことがあったとしても、それだけでは忌避は認められません。通常は事件が異なれば争点も証拠も異なりますし、訟務検事としての関わりも限定的な場合が多いからです。
今回忌避が認められたのは、両事件の争点の共通性が大きかったことに加えて、川崎裁判官が訟務検事として国の立場で訴訟活動を行っていた関与の程度が、よほど大きかったからだと思います。
忌避は、裁判の公正に対する信頼を守るために大切な制度です。特に最近は、原発や選挙をめぐる訴訟など、社会的影響の大きな訴訟が増えており、そうした事件を担当する裁判官の経歴にも注目が集まりやすくなっています。今後もその風潮はさらに高まっていくのではないでしょうか」
片田弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2015/09/28 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【「固定残業代が悪用されている」 長時間労働で「うつ状態」の元飲食店従業員が提訴】
|
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
1カ月あたり約6万円の固定残業代で、150~220時間の時間外労働をさせられた結果、過労による「うつ状態」になって働けなくなったとして、飲食店の元従業員の男性(26)が9月28日、運営会社と代表取締役らを相手取って、社員としての地位確認や慰謝料などを求める訴訟を東京地裁に起こした。
■男性は「労災認定」を受けている
訴状などによると、男性は2013年3月、しゃぶしゃぶ・懐石料理チェーン「月亭」などを経営する永和商事に正社員として入社した。賃金は、1カ月あたりの基本給が約14万円で、そこに約6万円の固定残業代が加算されるというものだった。
男性は入社後、月亭「八王子店」で調理を担当。そこで月間150~220時間の時間外労働をさせられたり、上司から暴言を受けるなどのパワーハラスメントを受けたという。2014年2月上旬に「うつ状態」となり、同年4月下旬から休職に入った。
男性は休職中の2015年2月下旬、会社から休職期間満了による「自然退職」の通知を受けた。その後、八王子労働基準監督署が8月中旬に「労災」を認定して、休業補償の一部が支払われているが、男性側は、社員としての地位確認のほか、慰謝料や未払い残業代の支払いなどを求める提訴に踏み切った。
■「正社員なんてどこもそんなもんだから仕方ない、とは思えない」
提訴後、東京・霞が関の厚生労働省で記者会見を開いた男性は「社員として働き、自分の力で普通に生きたい、という努力の結果、貯金は療養のための生活費に消え、年齢は増え、キャリアは完全に無駄になり、生活困窮状態にまで追い詰められた」「『飲食業だから、正社員なんてどこもそんなもんだから仕方ない』とは思えない」と提訴に至った心境を明かした。
同席した代理人の古川拓弁護士は「過労死ラインを超える長時間労働をさせられていたにもかかわらず、固定残業代に対する残業時間が明示されていないなど、違法だった」「固定残業代制度の悪用が、長時間労働の温床になっている」「定額働かせ放題だ」と話していた。
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2015/09/28 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【<朝霞男性絞殺>殺人容疑で「警察官」が逮捕された! 一般人より「罪」が重くなる?】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
埼玉県朝霞市の住宅で58歳の男性が死亡しているのが見つかった事件で、埼玉県警は9月中旬、殺人と住居侵入の容疑で、浦和警察署勤務の現職巡査部長(31)を逮捕した。
報道によると、この巡査部長は、男性の住居に侵入して、ロープで首を絞めて殺害した疑いがもたれている。「金目当てだった」「不倫していた」などと供述していることから、警察は、不倫の交際費を捻出するために犯行に及んだ可能性があるとみている。
現職警官が殺人容疑で逮捕されるという事態を受け、埼玉県警は9月23日、臨時の署長会議を開き、貴志浩平県警本部長が「県警史上、例を見ない事件で、まさに言語道断であり、痛恨の極み。失われた信頼を回復するには、警察の使命を果たすこと以外にない」と訓示した
警察官の不祥事はあとを絶たない。犯罪を取り締まる側の警察官が罪を犯した場合、一般の人に比べて罪が重くなるのだろうか。元裁判官の片田真志弁護士に聞いた。
■職務との関連性によって、罪の重さが変わる場合がある
「結論としては、警察官による犯罪の場合、職務との関連性の大きさによって、刑罰が重く科されることがあります」
片田弁護士はこのように述べる。どういうことだろうか。
「一口に警察官が犯罪を行うといっても、職務に強く関連する犯罪と、そうでない場合までさまざまです。
たとえば、警察官が、万引きを行った女性に対して、逮捕されたくなければいうことを聞けといって脅し、取調中にわいせつな行為をした場合などは、職務に極めて強く関連した犯罪といえます。この場合は、特別公務員暴行陵虐(りょうぎゃく)という特別の犯罪が成立しますし、裁判で科される刑も、当然重たくなります。
強制捜査等の特別の権限を与えられている警察官がその権限を違法に用いて犯罪を行った場合には、厳しい非難が向けられて当然でしょう」
一般人にはあてはまらない、特別な罪が定められているわけだ。
「警察官が捜査上知った秘密をネタに恐喝したとか、知人の犯罪の証拠隠滅に協力したような場合なども同様です。職務と関連した犯罪であるため、一般人が同じ犯罪を行った場合に比べて、量刑上重たく処罰される傾向があります」
■罪の重さに影響しないケースとは?
「一方で、警察官が、夫婦げんかの際に相手に暴力をふるってしまったような場合は、警察官としての職務とは関係がありません。
もちろん、犯罪を撲滅し治安を維持すべき職業に就いているのですから、私生活においても高度な倫理観を持つべきだとはいえますが、それを理由に刑罰を格段に重くするのは、行き過ぎでしょう。
このようなケースでは、量刑において職業が大きく考慮されることはあまりありません。これまで説明してきたように、警察官による犯罪の場合、職務との関連性の大きさによって刑罰に与える影響は異なってくるのです。
朝霞市の殺人事件についても、職務との関連性の強弱が刑罰の重さに影響を与える可能性はあるでしょう」
片田弁護士はこのように分析していた。
(弁護士ドットコム ニュース編集部)
|
|
|
2015/09/18 【メディア掲載】
京都新聞 【社長パワハラや長時間労働でうつ発症、認定 京都地裁】
|
古川 拓 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
会社での長時間労働や社長からのパワハラが原因でうつ病を発症したとして、京都市山科区の女性(41)が労災給付を不支給とした京都下労働基準監督署の処分取り消しを求めた訴訟の判決が18日、京都地裁であった。神山隆一裁判長は処分を違法として取り消した。
判決によると、女性は伏見区の精密機械メーカーに勤務していた2009年5月にうつ病を発症し、同年9月に退職した。神山裁判長は、社長からの暴言や、時には月100時間に及んだ時間外労働などがうつ病の複合的な原因と認定。うつ病の業務起因性を否定した労基署の判断は違法と結論づけた。
原告の女性は記者会見し、「不当な長時間労働などを強いる企業をなくし、誰もが気持ちよく仕事できる環境をつくって」と話した。厚生労働省は「今後の対応は、判決内容を確認して関係機関と協議したい」とした。
(京都新聞)
|
|
|
2015/09/15 【メディア掲載】
産経新聞 【「指示なければ事故に遭っていないはず」… 宮大工の遺族、労災認定求め提訴へ-大阪地裁】
|
古川 拓 弁護士と片田真志 弁護士の担当事案について、記事が掲載されました。
|
|
|
日当を受け取りながら労働者でなく自営業者と判断され、建築現場の死亡事故で労災補償されなかったのは不当として、死亡した宮大工の男性=当時(44)、京都府長岡京市=の妻(40)が16日にも、労災認定を求める行政訴訟を大阪地裁に起こす。雇用と請負の線引きがあいまいなまま口頭で契約を結ぶ慣行がある建設業界。事故後、労働者が自営業者とみなされて給付金を受け取れないケースも多く、こうした実態に一石を投じる訴訟になりそうだ。
訴えによると、男性は工務店を営む知人から口頭で依頼され、平成26年2~4月、香川県内の神社と埼玉県内の作業場で屋根の修理工事に従事。4月29日、埼玉の現場で作業中に屋根から約7メートル下の地面へ転落し、3日後に死亡した。
男性が日常はフリーの宮大工として仕事していたことなどから、川越労働基準監督署は同年12月、男性は自営業者で仕事は請負だったとみなし、給付金の不支給を決定。埼玉労働局の労災保険審査官も今年5月、同様の判断を下した。
ところが今回、男性には工事の進捗(しんちょく)状況と関係なく日当として2万円が継続して支払われており、事故当日は知人も屋根に上がって作業を分担していた。このため妻側は、男性が実質的に知人から労働者として雇用されており、労災として救済されるべきだと主張している。
労基署と審査官が不支給の根拠とした平成8年公表の判断基準は、雇用か請負か不明確な形態を見極めるポイントを列記しているが、「日当による日給月給制の場合は労働者」という前提も示している。
妻側代理人の古川拓弁護士(京都弁護士会)は「労基署の決定は判断基準の前提を無視している」と話している。
■「慎重な夫が事故に遭うなんて」
「もし指示を受けずに自分の責任で仕事を進めていたら、慎重な性格の夫が事故に遭うはずはなかった」。妻はそう考えている。
男性は高校卒業後、社寺建築を専門に行う建築会社に入社し、約20年勤めた後に宮大工として独立。伏見稲荷大社(京都市伏見区)の改修工事などで腕を磨いた。大きなけがをしたことは、一度もなかった。
職人かたぎで人の好き嫌いは激しかったが、会社時代の先輩だった知人には信頼を寄せていた。香川から京都の自宅に戻った4月27日、「早く来てほしいと言われた」と妻に言い残し、翌朝埼玉へ向かってその日のうちに作業を始めた。
29日午後、現場で雨が降り、知人が命綱を取りに屋根を降りていた間に、男性は足を滑らせて転落した。動転する妻に知人は「できるだけのことはします」と話したが、事故の詳細は説明せず、次第に態度もよそよそしくなったという。
子供は3人。小6になった次男は最近、跡を継いで宮大工になりたいと言い出した。夫を誇りに感じる半面、なぜ亡くならねばならなかったのかと思うと、やるせなく、悲しい。「残された私たちの生活のためにも、労災を認めてほしい」。妻はそう願っている。
(産経新聞)
|
|
|
2015/07/29 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【多発する外国人技能実習生の『労災事故』 行きすぎたコストカット追求が影響?】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
日本で働きながら技能を学ぶ「外国人技能実習生」の労災事故が2013年度に初めて1000人を超え、1109人に達したことが、7月13日付の朝日新聞で報じられた。実習生の受け入れ団体や企業を指導する国際研修協力機構(JITCO)のまとめでわかったという。
長時間残業による実習生の過労死も起きている。2010年には、茨城県のめっき加工会社に勤めていた31歳の中国人男性が死亡したケースについて、労働基準監督署が過労死だったと認定している。労災事故にあった人数は、東海3県が上位を占めている。
外国人技能実習制度は、日本の技術を学んでもらうことを目的に外国人を受け入れる制度で1993年に導入された。農業や漁業など、71の職種が対象で、上限は3年。 年間約17万人が働いているが、労働環境が劣悪だといった批判が根強くある。こうした現状を、労災問題に取り組む弁護士はどうみているのか。古川拓弁護士に聞いた。
■深刻な労災事故や過労死が発生している
「外国人技能実習制度(以下「実習制度」といいます)では、パスポートの取上げや最低賃金法違反、権利を主張したら強制帰国させる、などといった問題が指摘されてきました。こうした問題と並んで、実習生の労災事故の問題も深刻です」
古川弁護士はこのように述べる。問題の背景には、どういった事情があるのだろうか。
「そもそも事業主や企業が実習制度を利用する動機として、『所得の国際格差を利用してコストカットしよう』という点が挙げられます。
発展途上国から来る実習生にとって、日本の賃金水準は自国と比べて高いので、日本人から見れば低賃金でも、実習生は喜んで働きます。
日本の事業主や企業から見れば、低い賃金水準・厳しい労働環境でも働き手を見つけやすいため、その点をうまく利用してコストカットを図ろうということです。
しかし、中には、コストカットを追求するあまり、実習生の安全や健康に対する配慮を怠って働かせる事業主や企業が残念ながらいます。その中で、深刻な労災事故や過労死等が発生しているケースが少なくありません」
古川弁護士は、実習生側が日本の労働法制度を理解していないことも背景にあると指摘する。
「実習生は、日本語や日本の制度に十分に慣れないままに働きはじめる場合が多く、自分たちを保護してくれる労働時間や作業環境に関する労働関係法令、あるいは労災保険の制度を十分に理解していません。もしくは、知っていても、言葉の壁などで、具体的な活用や権利の主張ができずに働いているケースが多々あると思われます。
そういったことが、事業主や企業の労働関係法令違反や労災事故が多発する温床となっていると言えるでしょう。しかし、当然の話ですが、実習生であっても、日本で働く以上、労働者であることには変わりありません」
■「日本人の労働者を使用する場合と変わらない姿勢を」
労災事故について、事業主や企業は、どんな責任を負う必要があるだろうか。
「事業主や企業は、労働関係法令をまもって実習生の生命・健康・安全に配慮して使用する義務を負っています。この義務に違反して労災事故を発生させ、実習生の生命や健康を損なった場合には、実習生に対する損害賠償責任を負うことになります。
また、法令違反に対する刑事罰のリスクもあります。実習生の労災事故が多数発生し、これに対する世論やマスコミの注目度が上がっています。これまで以上に、救済を求める実習生に対する支援の輪も広がっていくことが考えられます。
事業主・企業としては、損害賠償責任や刑事罰を負うリスクだけでなく、報道等によって企業の名前が世間に知れ渡り、評判が決定的に損なわれるリスクも出てきます」
どのような姿勢が求められるのだろうか。
「日本人の労働者を使用する場合と変わらない姿勢で、関係法令をまもり、実習生の生命・健康・安全に十分に配慮しながら使用することが、企業のリスクヘッジとしても重要だと考えられます」
古川弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコム トピックス)
|
|
|
2015/06/24 【メディア掲載】
京都新聞 【過労死防止へ連絡会が本格始動 京都の遺族や弁護士】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
過労死や働き過ぎなどが原因となる自殺を防ごうと、遺族や弁護士らが今春立ち上げた「過労死防止京都連絡会」の本格的な活動の第一歩がスタートする。過労死防止に関する国の大綱案について、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表=京都市伏見区=を招いた学習会を25日に中京区で開く。
国は、過労死や過労自殺をめぐって、民間団体への支援などが盛り込まれた過労死等防止対策推進法を昨年11月に施行し、具体策をまとめた大綱づくりを進めている。一方、一部の労働者を労働時間規制の対象から外す法改正案など、遺族から「過労死を増やす」と批判を受ける労働法制の見直しも進んでいる。
連絡会は今年4月、京都の遺族団体が、法制定を機により幅広い活動を展開しようと関係団体に呼び掛けて発足させた。
会長に就任した中嶌清美さん(64)=右京区=は25年前、病院の事務長だった夫の友利さん(当時41)を過労による心筋梗塞で亡くした。当時は労災申請で過労死が認められるケースは全国でも数十件程度。それでも「過労死社会を告発し、病院のために働いた夫のことを認めてほしい」との思いで申請に踏み切り、2年後に認定を受けた。
法制定を求める運動にも関わってきた中嶌さんは「連絡会では、市民と一緒に過労死ゼロに向けた取り組みを進めたい」と話す。事務局長を務める古川拓弁護士(38)も「遺族に寄り添うことを出発点とし、企業経営者も交えて問題を考えられれば」と意気込む。
学習会は午後6時半から京都市中京区のラボール京都で行い、国の大綱案策定の審議過程で、遺族の立場で意見を述べた寺西代表が、策定の過程で見えてきた意義などを語る。問い合わせは連絡会事務局のある「働くもののいのちと健康を守る京都センター」TEL 075(803)2130。
(京都新聞)
|
|
|
2015/06/18 【メディア掲載】
産経新聞 【『京大病院汚職』 沈黙守る「象牙の塔」 記者会見なし、コメントもなし】
|
片田真志 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
研究機材購入をめぐり、京都大病院の元准教授、丸井晃容疑者(47)が収賄容疑で逮捕された事件で、汚職の舞台となった京大が沈黙を続けている。元准教授の逮捕以降、記者会見やコメントの発表はなく、17日に記者との懇談にのぞんだ山極寿一総長も「大変遺憾」と述べるのがやっと。大学病院などを舞台にした贈収賄事件は後を絶たない。抜本的改革に乗り出そうという大学側の姿勢がなければ、再発防止への道程も険しそうだ。
■会見なし 内部から対応に批判も
17日午後に開かれた山極総長と報道陣との定例懇談会。「説明責任を果たすべきでは」と迫る報道陣に、総長は「調査委の結果が出るまで見解は言えない」などと繰り返した。結果を出す時期について大学側は「なるべく早く」と述べるにとどめた。
京大病院は、逮捕前の11日には警察からの連絡で贈収賄疑惑を把握。院内に調査委員会も設置していたが、公表してこなかった。逮捕後も、京大広報課は当初、「京大病院で対応を一本化している」と取材を受け付けず、当の京大病院も「個人のことなので言えない」と押し通し、記者会見すら開かなかった。ある京大病院関係者は「組織的な事件と思われたくないのかもしれないが、記者会見も開かないのには違和感を覚える。 何か隠しているのではないかと疑われてしまう」と上層部の対応を批判した。
■他の大学病院でも、これまでに贈収賄事件が
大学病院が舞台となった贈収賄事件はこれまでに何度も起きている。
平成4年には、心臓の治療用ペースメーカーの納入をめぐり、賄賂を受け取っていたとして、東大病院の助教授らが逮捕。昨年12月にも徳島大病院で、情報システム業務の受注をめぐり、収賄容疑で当時の大学の情報センター部長が逮捕された。
専門性の高い医療機器などは、外部から購入の妥当性をチェックするのが難しいため、汚職の温床になると指摘されてきた。
今回は、機器納入の実権を握る丸井容疑者に業者側が接近。容疑者や業者の担当者以外に、研究に必要な機器の細かい仕様などを把握していた人はほとんどいなかったといい、チェック機能は働かなかった。
■絶大な医師の力
医療現場で医師が持つ絶大な力が、問題の根底にあるのではないかと指摘する関係者もいる。
ある医療機器販売会社の社員は、「大学の事務方に機器納入の決定権がある場合でも、医師の口添えがあるかどうかが契約の成否を分ける」と打ち明ける。
特有の閉鎖社会が作り出す利権の構造。繰り返される事件を防ぐには、どうしたらよいのか。贈収賄事件に詳しい元裁判官の片田真志弁護士は「決定権を持つ人を定期的に替えたり、複数体制にしたりすることが癒着を防ぐ手立てになるのではないか」と指摘している。
(産経新聞)
|
|
|
2015/01/21 【メディア掲載】
日刊ゲンダイ 【安倍自民がリベンジ 「残業代ゼロ法案」で過労死が激増する】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
管理職のサラリーマンが、また追い詰められている。
政府は、労働基準法改正案「高度プロフェッショナル労働制」を26日召集の通常国会に提出する方針だ。勤務時間ではなく成果で報酬を決める新労働時間制度は、年収1075万円超の専門職サラリーマンが対象となる。
この“残業代ゼロ法案”は安倍政権肝いりの雇用政策。第1次政権時には、「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼ばれ、年収800万~900万円のホワイトカラー労働者が対象になった。今回は、名称を変えて“リベンジ”するのである。
厚労省は、労働時間の上限や休息時間を義務付けるとしているが、専門家からは「過労死」「精神疾患」が急増すると批判が相次いでいる。
■メンタル労災は2週間で発症
労働問題に詳しい古川・片田総合法律事務所代表の古川拓弁護士が言う。
「残業代が不要になると、働かせ放題で過重労働を促進する危険が増します。『健康管理時間』把握制度を設けるなどとしていますが、安心できません。深夜労働など特殊な環境では体調を崩しやすい。また、長時間労働が続く中で、異動や新しい仕事が命じられるなど急に働く環境が変わったり、能力以上の仕事を課されることは強いストレスとなります。過労死や自殺を含むメンタル労災は、“忙しくなって”から2週間などの短期で発生するケースもあり、心配です」
しかも対象者は、金融関係のアナリストやコンサルタント。
「すでに激務とされている職業です。特に外資は、高給取りであるほど、精神疾患が多いといわれている。『成果』が出れば時間は関係ないというのは政府の“方便”。目に見えた成果を測れない職業が多いし、エリートほどより上を目指すため、終わりはありません。メンタルの病による自殺者を増やすことになるでしょう」(人事コンサルタントの菅野宏三氏)
安倍首相にとって国民の命は、そんなに軽いのか。
(日刊ゲンダイ)
|
|
|
2014/12/20 【メディア掲載】
週刊ダイヤモンド 2014年12月20日号 -特集「労基署がやってくる!」-
|
P.55 「頼れる労働者側弁護士20人」 の弁護士リストに、古川 拓 弁護士が紹介されました。
|
|
|
週刊ダイヤモンド 14年12月20日号
労基署がやってくる!
|
出版社 |
: ダイヤモンド社 |
発行日 |
: 2014/12/15 |
定価 |
: 本体657円+税 |
|
|
|
(ダイヤモンド社 「週刊 ダイヤモンド」 より)
2014/12/08 【メディア掲載】
産経新聞 【過労死遺族の話に聞き入る 大津で防止法施行受け「つどい」】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
「過労死を考える滋賀のつどい」が7日、大津市浜大津の市ふれあいプラザで行われ、遺族や弁護士の話に参加者らが聞き入った。
過労死や過労自殺を国の責務で防ぐ「過労死等防止対策推進法」が超党派の議員立法で成立し、今年11月に施行された。これを機に、遺族らのグループが行政機関と連携してシンポジウムを各地で開催。滋賀のつどいは滋賀労働局と県、同市が後援した。
会場では、夫を過労自殺で亡くした「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑子(えみこ)さん(65)=京都市伏見区=が講演。若年層の過労死・過労自殺が増えてきた現況を指摘し、「将来を担う優秀な人材を失い続ければ、日本の未来はない。過労死は減らすのではなく、なくさねばならない」と訴えた。
また、京都弁護士会の古川拓弁護士が法律の内容を説明。「遺族の声を政府に届けるシステムが制度化された。過労死防止について、継続的な取り組みと国民的な議論が大切になってくる」と述べた。
(産経新聞・朝刊)
|
|
|
2014/11/09 【メディア掲載】
産経新聞 【長時間労働減らす改革を 過労死防止法施行受け遺族ら京都でつどい】
|
古川 拓 弁護士の講演について、記事が掲載されました。
|
|
|
過労死・過労自殺を国の責務で防ぐ「過労死等防止対策推進法」の施行を受け、法律の制定を求めてきた遺族や弁護士らが8日、京都市中京区の京都弁護士会館で「過労死を考える京都のつどい」を開いた。
過労死防止法は今月1日に施行。対策を進める大綱の策定を国に義務づけたほか、11月を過労死等防止啓発月間と定めた。 月間に合わせて全国28カ所で順次、シンポジウムが行われる予定で、京都のつどいは関西最初の開催となった。
つどいでは「全国過労死を考える家族の会」代表、寺西笑(えみ)子(こ)さん(65)=京都市伏見区=が講演。 過労自殺した夫の無念を晴らすために10年間続けた活動を振り返り「過労死は、まじめで責任感の強い人ほど被災する理不尽な死だ」と指摘した。
また、過労死防止法の制定に至った経緯を紹介。 「長時間労働を減らす改革をすることが私たちの責任。 働く人も意識を変えてほしい」と訴えた。
続いて古川拓弁護士(京都弁護士会)が法律の内容を解説。 「過労死の実態は必ずしも十分に把握されていない。 法律の中でそうした現状を認め、国と地方自治体の主体的な責務を明記したことが特徴といえる」と述べた。
(産経新聞)
|
|
|
2014/10/11 【メディア掲載】
週刊ダイヤモンド 2014年10月11日号 -民法大改正 知らなきゃ損するサラリーマンの法律入門-
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
P.47 「サラリーマンの法律入門」 (眼精疲労と労災について)
P.51 「サラリーマンの日常のお悩みに敏腕弁護士がズバッと答えます」 (熱中症と労災について)
週刊ダイヤモンド 14年10月11日号
民法大改正
知らなきゃ損するサラリーマンの法律入門
|
出版社 |
: ダイヤモンド社 |
発行日 |
: 2014/10/06 |
定価 |
: 本体657円+税 |
|
|
|
(ダイヤモンド社 「週刊 ダイヤモンド」 より)
2014/08/17 【メディア掲載】
Yahoo!ニュース 【日常的に繰り返される暴言・暴行−上司の「パワハラ」を目撃したらどう対応すべき?】
|
古川 拓 弁護士が取材を受け、記事が掲載されました。
|
|
|
「お前の顔見てると吐きそう」「死んだほうがいい」。そんな人格を否定するような暴言を浴びせかけ、「契約100件取るまで帰って来るな!」と、理不尽な命令を飛ばす。ときには、ゴルフクラブで背中を殴打するといった暴力に至ることもある・・・。
不動産関係の会社で営業を担当していたAさんの職場では、こうしたパワー・ハラスメントが、ある上司によって日常的に行われていた。同僚への激しいパワハラをなんとか止めることができないか。Aさんはそう考えていた。
しかし、「注意したら自分にも被害が及ぶかもしれない」と恐れ、見て見ぬふりをするしかなかったという。別の仕事に転職した今でも、当時のことを思うと暗い気持ちになる。「自分に何かできたのではないか」と自問することもあるそうだ。
職場でパワハラを見かけても、上司に対して、毅然と注意することはなかなか難しい。いったい、どのように対応すればよいのだろうか。労働問題にくわしい、古川拓弁護士に聞いた。
■精神的に支えてあげることが出発点
「職場でのパワハラは、主に上司としての地位を利用したいじめ・嫌がらせのケースが多いですが、最近では同僚・部下間でのケースも増えています。仕事への意欲や自信を喪失させるだけでなく、うつ病や適応障害などといった精神障害を引き起こし、ひどい場合は、自殺に至る原因ともなります。
今回のケースですと、『死んだほうがいい』などという人格否定のひどい言動や、ゴルフクラブで背中を殴打するなどといった身体に対する暴力があるということですので、同僚に強い心理的負荷がかかる、ひどいパワハラ行為だと認められる可能性が高いと言えるでしょう」
Aさんのように、職場でひどいパワハラ行為を見た場合は、どう対応すればよいだろうか。
まず、被害者の方を心理的に支えてあげることが大事でしょう。共感・同情していることを伝えて、相談にのることがスタートではないかと思います。被害者は追い詰められたり孤独になっていることが多いため、『職場に味方がいる』という事実そのものが、大きな支えになるでしょう」
相談に乗るといっても、いったいどんな風に接すればいいのか?
「体調などを気遣ってあげて、『夜眠れない』『食欲がない』『どんよりした気持ちになる』などといった体調の変化があるのであれば、やんわりと精神科や心療内科への受診を勧めるのも一つかと思います。精神障害を発症している場合、対策を講じないでいると、ひどい場合は自殺に至るなど『最悪の事態』の危険もありますから」
■パワハラ行為の記録も重要なサポートに精神的な支え以外で、できることはないだろうか。
「たとえばパワハラ行為について、メモやレコーダーなどに記録しておくことが考えられます。パワハラ行為の内容について、後日問題になった場合に証拠となります」
記録をとるだけなら、すぐにでもできそうだ。その記録をどうすればいいのだろうか。
「どこかに相談することが考えられますが、どこに、どんな話をするかが重要となってきます。会社内の人事部やコンプライアンス委員会などの窓口、そして、労働組合や労基署などが考えられますが、一般的に、会社内に設けられた窓口は、会社の不利益を回避するように行動することが予想されます。
また、職場内の労働組合も、労使協調を重視するあまり、こういった個々の労働者の悩みを正面からとりあげてくれない場合が見受けられます。
労基署にパワハラの証拠をそろえて持っていけば、職場視察などをしてもらえる可能性はあると思います。しかし実効性に乏しいだけでなく、会社側が、労基署に申告した人を推定して報復してくる可能性もありますので、必ずしも一般的にお勧めできるわけではありません」
いちばん現実的なのは、どんな方法なのか?
「一番現実的なのは、パワハラの被害を受けた本人が、パワハラ問題にくわしい弁護士に相談し、弁護士と一緒に解決に乗り出すことです。
もし、被害者がパワハラを受け、精神的なショックから通院されているような場合は、精神障害による労災問題について、十分な知識を持った弁護士にご相談するのがよいでしょう。証拠をそろえる方法なども含め、具体的な進め方についてのアドバイスを受けることが可能です」
職場のパワハラに対して、同僚としてできることは限られているかもしれない。それでも、パワハラ行為を記録したり、弁護士に相談するようアドバイスすることならば、可能かもしれない。
(弁護士ドットコム トピックス)
|
|
|
ご相談予約・お問い合わせ
お客様にとって最良の解決方法を、自信を持ってご提案します。
私たちにおまかせください。 お役に立ちます。 |
|
▶▶▶ 右記フリーダイヤル にて |
|
お気軽にお問い合わせください。 |
【営業時間】 平日 9:00~18:00
※土日祝・営業時間外も必要に応じて対応可能 (要予約)
|
|
|